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【やさしい教師のいじめかた6】

どうも、SS担当タイヤキです。

色々とイベントが立て込んでた関係で、すっかり遅くなりましたが、
なのは先生シリーズ第6回です。一応、今回の話で第一幕は終わりとなります。

今後もこのシリーズは続けていくつもりですが、他の話も書きたくなってきたので、
先生シリーズの更新頻度は、多分落ちると思います(汗
そのぐらいのゆる~い気持ちで気長に待っていただけると嬉しいです。

さてさて、第5回でかなり暗い話になりかけて、暗い話を書くのが苦手な自分としては
続きを書くのにかなり苦労しました。。。何とか形になって良かったです\(^0^)/
では、以下からどうぞ(※百合注意)
----------------------------------------------------
【やさしい教師のいじめかた6】
 
     ◇◆◇
 
 昨日の大喧嘩から一転、フェイトは遊園地のベンチに座っていた。
 
「なぁ、フェイト何か飲み物でも買ってこようか?」
 
「……いらない」
 
「そ、そうか? お! あそこにアイスクリーム屋があるぞ、どうだ?」
 
「…………」
 
 なぜか大喧嘩したはずの父親が隣に腰かけて、何かと構ってくる。フェイトは父の言葉を無視して空を仰いだ。休日特有の喧騒の下で、それでも空はいつも通りに穏やかに雲を運んでいた。
 昨晩は、一世一代の親子喧嘩をして、これから先に不安を覚えて一晩泣き腫らしたにも関わらず、今のフェイトを見てそんな風に思う人は居ないだろう。仲良く手を繋いで歩いている親子を見て、フェイトは今の自分も傍から見るとアレと大差ないのだと考えただけで、思わず顔をしかめてしまう。
 もう一度、穏やかな空を見上げてため息をつく。フェイトはこんな状況をつくった元凶である母親に対し、心の中で思いっきり悪態をついた。
 
      ◇
 
「──あなた、掃除の邪魔だからフェイトと一緒に遊園地でも行ってきて」
 
 リンディの乱暴な物言いにクライドは耳を疑う。半信半疑の眼差しで見つめると、冷たい視線を返され、クライドは反論する気力も無くなってしまう。仕方なくリビングのソファから重い腰を上げた。
 
「あ、そうそう。あなた……」
 
 行くあてもなく、茫然と立ち尽くしていたクライドに、リンディは声をかける。これ以上まだ不満があるのだろうか、そんな瞳でクライドは振り向いた。
 
「どうせ今日暇なんでしょ? 昨日、たまたまペアの遊園地の入場券を貰ったから、フェイトと二人で行ってきたら?」
 
「……母さんは行かないのか?」
 
「私も一緒に行きたい所だけど、生憎あなた達と違って忙しいから、代わりにお願いね」
 
 そう冷たく言い放たれてしまったクライドはそれ以上何も言えなくなった。
 昨日のあの喧嘩の後なのだ、とても娘を遊園地へ誘うことなどできそうにはない。クライドはそう考えると、フェイトを誘うことを早々に諦める。しかし、この場に居ても仕方ないので少し外を散歩でもしてこようかと、リビングからそそくさと立ち去ろうとした。
 
「……あなた」
 
 不意に名前を呼ばれ、びくりと肩を震わせて立ち止まる。振り返ると、鬼の形相をした妻リンディが仁王立ちをしていた。
 
「まさか、自分の娘を放っておいて、一人で遊びになんていきませんよね?」
 
「なっ……ま、まさか。そんな訳ないじゃないか……ハハハ」
 
 蛇ににらまれたネズミとはまさにこの事だ。クライドは背中にびっしょりと冷や汗を流しながら乾いた笑い声を上げる。しかし、リンディの表情が緩むことはなかった。
 尚もその場から動けないクライドに、リンディは大きなため息をつくと手にした掃除機をその場に残してリビングから出ていく。何事かと思ったクライドが、彼女の背中を追いかけて、二階に上る。リンディが立ち止まっている部屋の前まで行き、その扉にかけられている札を見てクライドは固ってしまう。そこは、我が愛娘フェイトの部屋の前だった。
 
「────フェイト、入るわよ」
 
 リンディは短くそれだけ言うと、フェイトの返事を待つこともせずドアノブを回す。扉を開けると、驚いた表情のフェイトがベッドの上に座ったまま固まっていた。
 
「フェイト、いつまでもグジグジしてないで、たまには外に遊びに行ってらっしゃい!」
 
 驚きの余り口をパクパクさせているフェイトに、リンディはきっぱりと言い放つと、彼女の手を取って、無理やりにベッドから立たせるのだった。
 
      ◇
 
 その後、母リンディの有無を言わせない行動に、フェイトとクライドの二人はしぶしぶ遊園地へ来る羽目になった。
 フェイトは回想から意識を戻すと、再び大きなため息をついた。隣に座る父のソワソワとした、どこか居た堪れない雰囲気を感じるが、フォローをできる程、心にゆとりはなかった。
 
「ねぇ……」
 
 フェイトはぶっきらぼうに父へ声をかける。
 母の思惑に乗ってしまう形になることは少し気に入らないが、フェイトは父にどうしても聞いておきたいことが一つだけあった。
 
「どうして、私に護衛なんてつけたの?」
 
 ようやく動き出したはずのフェイトの時間を止めた”その事実”を、フェイトはどうしたって飲み込むことは出来なかった。けれど、その原因を作ったこの人から謝罪の一つでもあれば、もしかしたら何か変わるかもしれない、フェイトはそんな可能性の極めて低い思いを胸に抱いていた。
 実際の所、クライドからの謝罪でフェイトの気持ちが変わるとは思えなかったし、何よりクライドが素直に謝る姿など想像もできなかった。いつもの様に、自分の方が正しいのだから、と自分の論法を展開する父の方がよほど想像に容易かった。
 
「護衛? …………何のことだ?」
 
「──────────え?」
 
 しかし、クライドから返ってきた言葉と態度はフェイトの想像したものとかけ離れていた。クライドは怪訝そうに眉をひそめて、フェイトの横顔をじっと見ている。フェイトはそんな父の姿に、はっと別の可能性に気付いた。同時にサーっと頭に上っていた血が引いていく。
 
「ま、まさか…………」
 
 あまりにも笑えない冗談だった。
 今まで散々喚き散らしていたのに、自分の悪戯が親に発覚した途端に静かになる子供のような、そんなあまりにも情けない気持ちになる。
 
「おい! フェイト、どうした!?」
 
 突然塞ぎ込んだフェイトに、父は慌てたように声をかける。しかし、今のフェイトにはその優しささえも恥ずかしかった、申し訳なかった。
 
「父さん…………もしかしてだけど……」
 
「ん? どうした? 気分でも悪いのか?」
 
「気分は、大丈夫……それよりも、もう一つ確認なんだけど」
 
 なんだ?と尋ねてくる父に、フェイトは俯いたままぎゅっと拳を握ると、少し擦れた声で、もう一つの可能性について聞いてみる。
 
「なのは……先生って、本当の任務は私の護衛だと聞いたけど、それって本当? 父さんの指示だって言ってたけど……」
 
「……それは、彼女がそう言っていたのか?」
 
 フェイトの質問に、クライドの表情が真剣なものへと変わる。声も先程までの慌てふためいたものではなく、警視総監としての貫録に満ちた、低く迫力のある声だった。警視総監としての父の姿をフェイトは初めて見た。
 
「そう………………あれ?」
 
 フェイトはハタとある事に気付いて、言いかけていた肯定の言葉を飲み込んだ。
 
(そういえば、なのは先生は、一言も私の護衛だなんて言ってない?)
 
 須狩を退けた後、先生はフェイトの疑問をきっぱりと否定をしていた事を思い出す。あの時は気が動転していて、なのは先生が嘘をついているのだと思い込んでいたが、本当に真実だったのかもしれない。
 
「……どうやらその様子だと、フェイトが勘違いしているだけのようだな」
 
 父の言葉にはっとして、フェイトは顔を上げた。そこには青い瞳で見つめてくる父の姿があった。いつもよりも優しく感じる父の眼差しにフェイトはドキッとした。
 
「……じゃあ、やっぱり違うんだ」
 
「お前が何をどう考えているのか俺には分からんが、少なくとも彼女の任務はお前の護衛ではない……ま、本当の任務内容までは教えてやれんが、これぐらいならまぁいいだろう」
 
「父さん……」
 
「……ふ、これで俺の疑いも晴れたかな?」
 
 そう言って笑う父をフェイトは久しぶりに見た気がした。
 
「うん、ありがとう父さん…………あと、その…………」
 
「ああ、分かってる。行ってこい!」
 
 何かを言いづらそうにしていたフェイトだったが、父の言葉で吹っ切れたような表情になると、突然ベンチから立ち上がって、「ありがとう」と一言だけ言って駆けだして行った。弾かれるように飛び出して行った娘の背中をクライドは静かに見つめていた。
 
 
 
     ◇◆◇
 
 ──ピンポーン
 
 フェイトは震える指でインターホンを押していた。大きく肩で息をしている姿が、ここまでの道のりをずっと走ってきのだと連想させる。背中や肩にシャツがべったりとくっ付く程、全身汗まみれになっていた。
 
「は~い」
 
 なのはは不用心にも誰が来たかも確認せずに、ガチャリと玄関の扉をあける。フェイトと目が合った瞬間に、あっと驚愕の声が小さく漏れた。
 
「……なのは先生」
 
 茫然と立ち尽くすなのはを見つめて、フェイトは尚も整わない呼吸のまま低く名前を呼んだ。フェイトの声になのはがびくりと肩を震わせる。
 どうして、と彼女の困惑した瞳がそう語りかけてくる。
 
「先生……私……」
 
「でさー、その時あいつ、何て言ったと思う?」
 
 フェイトが口を開くと同時に、隣人の玄関の戸がガチャリと大きな音を立てて開くと、その中からカップルが出てくる。男の方が何やら得意気に話ていた。
 フェイトとなのはは、飛び上がりそうな程驚く。
 
「あ、フェイトちゃん! と、とりあえず中入ろうか?」
 
「う、うん! そ、そうだね!」
 
 結果、フェイトは比較的情けない形でなのはの家の中へと通される事になった。フェイトはそのままなし崩し的にリビングへと通され、自然な流れでソファーに座るように勧められる。部屋を満たすなのはの匂いに、収まりかけた心拍数が再び上がり始める。
 フェイトは勧められるままにソファーへと腰を下ろすと、ぐっと目に力を入れ決意を秘めた瞳でなのはを見る。
 
「────────ごめんなさい」
 
 次の瞬間、フェイトは深々と頭を下げて謝罪の言葉をなのはに伝えた。フェイトの行動になのはは目を丸くして、驚きの余り声を失う。
 
「……父から聞きました、私の護衛が先生の任務ではなかったと……」
 
「え……あ、そっか聞いたんだ」
 
「先生はずっと本当の事、言ってくれてたのに……私は……私は…………」
 
「ううん、もういいの」
 
 頭を下げたまま自分への怒りで肩を震わせるフェイトに、なのははそっと彼女の手を両手で包み込む。そのまま彼女の手を掬い上げると、彼女の顔がその動きに釣られるように持ち上がる。澄んだ紅の瞳には溢れんばかりの涙が溜めこまれていて、綺麗だなとなのはは素直に思った。
 
「こうやって、また私の所に来てくれたから、だからもういいの……おかえり、フェイトちゃん」
 
 そう言って笑うなのはに、フェイトはとうとう堪え切れなくなって泣き出す。わんわんと子供の様に泣くフェイトをなのはは優しく抱き寄せた。なのはの柔らかい胸に埋まると、ひどく安心できてフェイトは増々泣きじゃくるのだった。
 
      ◇
 
 窓から差し込む光がオレンジから朱色に変わり始めた部屋で、フェイトとなのはは向い合ってソファーに腰かけていた。お互いの手には温かいホットココアが入ったマグカップが、ゆらゆらと湯気を立てている。
 しばらくしてフェイトが泣き止んだ後、なのはは色々と語ってくれた。
 今回の任務は確かに別にあったけれど、フェイトの護衛をすることで結果的に最短で任務を完了することができたこと。フェイトの家に毎朝押しかけるようになったのは、はやての強い説得があったこと、会った時からずっとフェイトの事が気になって事ある毎に目で追っていたこと。
 その口調は、時に優しく、時に面白そうに、そして時に照れくさそうに。
 なのはの表情も口調に合わせてコロコロと変わっていく。フェイトにはその表情のどれもが新鮮で、眩しくて、彼女の表情が変わる度に、言葉にならない温かいモノが心の奥底から湧き出てくるようだった。
 
「あ、フェイトちゃんやっと笑った♪」
 
 無意識に口元が綻んでいたようで、それを見つけたなのははさらにパッと表情を明るくする。
 
「なのは先生……本当にありがとうございました」
 
「……なのは、でいいよ」
 
 ほんのり赤くなったなのはの表情にドキリとする。
 
「え? でも、先生だし、年上だし……」
 
「フェイトちゃんには、そう呼んで欲しいなって……先生ってさ、あと一週間の間だけだし……………………先生って呼ばれちゃうと教育実習が終わった途端、会えなくなりそうで、ちょっと嫌なの」
 
 後半の言葉は消え入りそうな声だった。フェイトは沈んだ表情の彼女を見たくなくて、ぐっと瞳に力を入れると、
 
「────────なのは」
 
 そう力強く名前を呼ぶ。弾かれたように顔を上げるなのはを見てもう一度、
 
「なのは」
 
 今度は出来る限り優しく彼女の名前を呼んだ。なのはは今にも泣き出しそうな顔に変わるけれど、フェイトにはその理由が分からなかった。それでも何となく、彼女は色々と抱え込まなければならない問題が多くあるのだろう、と思った。
 
「なのは、今度は私がなのはの事を助けにいく。だから困ったことがあったら名前を呼んで」
 
「フェイトちゃん…………ふふ、本当にフェイトちゃんは可愛くて、カッコいい♪」
 
 そう言って笑うなのはに、フェイトも微笑みを返す。笑顔のフェイトの胸中では強い意思の光が、小さく輝き始めていた。
 
 
 
     ◇◆◇
 
 ────数年後。
 
「この度、本任務での指揮を任されました組織犯罪対策課のフェイト・T・ハロオウンです。よろしくお願いします!」
 
「フェイトちゃん!?」
 
「なのは、久しぶり。中々名前を呼んでくれないから、こっちから迎えに来ちゃった♪」
 
 黒の制服姿に身を包むフェイトは、警察官然とした敬礼をきめた後、信じられないとばかりに目を丸くするなのはに向かってニッと笑う。
 次の瞬間、なのはは人目も憚らずフェイトの胸へと飛び込んでいた……満開の笑顔と共に。
 
 
(第一幕 完)
 
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テーマ : 魔法少女リリカルなのは
ジャンル : アニメ・コミック

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