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【ラブリンク_新刊サンプル】花火の夜に【ハート05】

皆さま、ごきげんよう♪ 宣伝&SS担当タイヤキです。
今度の日曜(3/27)に行われるプリキュアまつりDX6のプチイベント「ラブリンク」に参加します!
このタイミングではありますが、入稿間に合ったので新刊のサンプル投入です。

因みにこの度表紙はくろほり先生に描いて頂きました~やったぁ~~!!!!(歓喜
表紙


当日は、「ハート05」でお待ちしてま~~~す♪
以下、サンプル(※百合注意)
----------------------------------------------------
【花火の夜に】
 
     ◇◆◇
 
「もうすぐクリスマスかぁ~……はぁ…………」
 
「何よ、クリスマス嫌いなの?」
 
 昼休み、隣の席で一緒にお弁当を食べていた友人が突然ため息をついてきたので、レジーナは思いっきり眉をしかめた。友人の呟きは、マナ達とのクリスマスパーティを楽しみにしているレジーナの気持ちを害すには十分だった。
 
「……そ~じゃないけどさぁ~、今年も彼氏ナシかと思うとさぁ」
 
「……カレシ?」
 
 もう一度盛大にため息をつきながら話す友人の言葉に、レジーナは首を傾げた。
 中学校に通うようになって一年以上経つレジーナだが、まだまだこちらの世界について知らないことが多い。特に、一般的な女子中学生事情に疎く、時々友人の言っている言葉の意味が分からず、その度にこうしてハテナマークを頭にぶら下げる羽目になる。この友人は察しがいいので、その度に色々と教えてくれた。その中には、知る必要さえないくだらないものも当然あったが、それでもレジーナはこの友人に何度も助けられていた。
 
「彼氏っていうのは、優しくて、格好良くて、頼りになって、一緒に居るとドキドキするような、そんな存在なんだよ……まぁ、私はいた事ないから、あくまで想像だけど」
 
「ふぅん……」
 
 レジーナは友人の説明を聞きながら、マナみたいな人の事か、と何となく理解して頷く。
 
「レジーナは、彼氏いるの? ……っているわけないか」
 
「いるよ、カレシ」
 
 カレシという単語の意味すら知らない人間なのだからと、初めから決めつけようとした友人に、平然とした表情で答えるレジーナ。その答えに友人は鳩が豆鉄砲を食ったような顔に変わった。

「だ、誰!? 私の知ってる人!?」

 ガタンと椅子を蹴りだして体を乗り出して訊ねてくる友人に、レジーナは思わず仰け反った。それほど驚くことなのだろうか、とレジーナは友人の食いつき具合に少し引く。
 
「……まあそうなんじゃない、有名人だし」
 
 レジーナが押され気味にそう答えると、友人は何度も相手の名前を聞いてきた。
 しかし、そこはレジーナ。
 素直に答えるわけもなく、小悪魔という単語にぴったりの笑顔で「ナイショ♪」と誤魔化すばかりだった。

      ◇
 
「マ~ナ~!」
 
 その日の放課後。
 生徒会室でマナの姿を見つけたレジーナは、名前を呼びながら彼女の元へと駆け寄る。向こうもレジーナの存在に気付いて嬉しそうに笑った。その優しい笑顔に気分を良くしたレジーナは、マナの胸に飛び込むと、マナに優しく受け止められて、レジーナは彼女の腕にすっぽりと収まった。柔らかいマナの匂いが鼻腔をくすぐる。
 突然飛びつかれて慌てたのだろう、マナは手に持っていた書類を手放してしまって、隣にいた六花が慌てて床に広がった書類を拾い上げている。「ちょっと、マナ!?」という非難の声が隣から聞こえてきた。
 それでもマナは、六花のお咎めなど気にする様子もなく、レジーナをぎゅっと抱きしめると、優しく「今日も一日お疲れ様♪」と声をかけてくれた。
 優しいマナの声がレジーナの耳朶を擽ると、心がマフラーに包まれたように暖かくなった。この気持ちが何者なのか、レジーナは良く分からないけれど、とても心地いいことだけは確かで、だからレジーナはマナの優しい声が大好きだった。
 ふと、レジーナが視線を隣に映すと、困ったように眉を八の字に曲げている六花と目が合う。この蒼く透き通った瞳を見つめていると、いつも吸い込まれそうな気分になる、不思議な蒼色。
 
「りっか~~♪」
 
 レジーナはマナの腕からするりと抜けると、その蒼い瞳に吸い寄せられるように、難しい顔をしている六花に抱きつく。
 
「わあ!? ちょっ、レジーナ?」
 
 レジーナに抱きつかれた六花は、慌てて手に持っている書類を落とさないように頭の上に持ち上げる。
 最近知ったのだが、六花は口ではガミガミと煩いけれど、実はかなり人に甘い。レジーナがいつも我が儘を言うと、グチグチと文句は言うけれど、最後には必ず甘えさせてくれた。もちろん、調子に乗り過ぎて大目玉をくらう事も時々あるけれど、そんなシーンはそれほど多くない。
 
「もう、危ないじゃない」
 
 と言いながらも、六花は持っていた書類をマナに手渡して、レジーナの頭を優しく撫でる。
 
「えへへ~♪ 今日はね、アタシ頑張ったから、マナと六花に甘えないと!」
 
「なぁに、その理屈……」
 
 レジーナの言葉に、一瞬目を丸くした六花は、ふっと柔らかく笑って、頭を撫でられているレジーナはまるで子猫のように気持ちよさそうに目を閉じた。
 
「あ! そうだ、マナ!」
 
 しかし次の瞬間、レジーナは六花から離れてマナに飛びついていた。気まぐれな所も本当に猫にそっくりだと、六花は突然行き場を失った手をブラブラさせながら思う。
 
「なぁに、レジーナ」
 
 今度は、マナがレジーナの頭を撫で始める。レジーナが身を乗り出すようにマナに詰め寄ると、

「マナは私のカレシだよね?」

 と、さらりと聞く。今日の昼休みの出来事を思い出したレジーナの質問に、流石のマナも驚いて、
 
「ええええええ!!?」
 
 と大声を張り上げると、レジーナの髪を撫でていた手を止めて、大きく体を反らして固まってしまった。目も口もこれでもかというほど開かれていて、マナの驚き具合がレジーナに伝わってくる。
 
「……えっと、その……」
 
 しどろもどろになりながら、マナは必死に何か言おうとしているが、言葉にならないようだ。ぎこちなく動く口とは裏腹に、彼女の目は上下左右へと忙しなく泳いでいた。
 即答で「そうだよ」と返ってくると思っていたレジーナは、マナの困ったような表情に、期待を裏切られた気分になった。何も答えてくれないマナに、先程まで浮き上がっていたレジーナの心はすっと冷えていく。もしかするとこのまま、期待する答えが返ってこないのではないかと、不安な気持ちが顔を覗かせて、レジーナは耳を塞いでしまいたくなった。
 
「…………違うんだ」
 
 マナが何か言う前に、レジーナはそう呟いていた。その声は、自分でも驚くほどの硬さを持っていて、ああ、アタシ、相当ショックなんだな、と沈みきった心でそんなことを考えていた。この後「ごめんね」なんて謝られてしまったら、きっと泣いてしまう、そしてさらにマナを困らせるんだ。そう思うと、レジーナは怖くなって耳を塞ぐ代わりに、両目をギュッと強く閉じた。
 
「…………違わないよ、レジーナ」
 
「「え!?」」
 
 マナの言葉が思った以上に真剣身を帯びていて、レジーナははっと顔を上げる。六花は六花で、マナの答えに驚いたらしく、隣で同時に声を上げていた。マナの表情を窺うと、彼女はいつもの自信に満ちた笑顔に変わっていて、レジーナの心臓は大きく跳ねた。
 
「私は、レジーナの彼氏だよ!」
 
「ちょっと、マナ!?」

 ドヤ顔でそう宣言するマナに、六花は思わず声を荒げた。六花の表情には困惑の色が濃く出ていて、不安がその顔に張り付いていた。
 一方のレジーナは、マナのドヤ顔にすっかり見惚れてしまって、目が離せなくなった。
 先程までのやり取りから察するに、恐らくレジーナには分からない大きな問題がマナの中にあったに違いない、それでもそれを振り切って自信満々の表情を向けてくるマナが格好いいと思った。
 
「やっぱり、そうだよね~♪」
 
 レジーナは期待する答えを得て、先程までの暗い顔から一変、すっかり上機嫌な表情に変わった。満面の笑みを浮かべて、抱きついていた腕の力をきゅっと少し強くする。
ちらりと六花の顔を覗くと、彼女は小さくため息をついて「仕方ないわね」という表情をしていて、きっと、この後何かしら六花に助けてもらわないといけないことがあるのだろうな、とレジーナはぼんやりと思った。
 困ったときはいつも助けてくれる六花に感謝しながら、レジーナは大好きなマナに存分に甘えるのだった。
 
 
 
     ◆◇◆
 
「マナ~!」
 
 ――――午前十時。
 夏の日差しがサンサンと降りしきる公園の噴水前に立っていたレジーナは、待っていた相手が現れたのを見つけると、透き通るようなブルーの瞳を輝かせながら大きく手を振る。
 高校三年生になったレジーナは、かなりの美人に成長していた。
 ショートパンツから覗くスラリと伸びた足に、膝丈まで伸びた金糸の髪とブルーの瞳は、外国のモデルに間違われても仕方がないほどだ。そして、チャームポイントである赤いリボンは、そのサイズこそ小さくなったものの、今でもちょこんと頭上に乗っていて、それがまたレジーナの可愛いらしさを見事に引き立てていた。
 可愛さと綺麗さを兼ね備えたスーパー女子高生となったレジーナだったが、唯一その慎ましやかな胸だけは、彼女の悩みの種だった。もう少し大きければ……、そう思う事もしばしばだ。
 けれど、その悩みの根本は、本当はそこではなくて、他にあるのだ。そう、それは今、レジーナの目の前にある――――。

「ごめんレジーナ、もしかして結構待った?」

 ようやく到着した待ち人は慌ててこちらへ駆け寄ってくると、心配そうに眉根をぎゅっと寄せて覗き込んできた。その赤い瞳が不安に揺れていて、本当に心配してくれていることが伝わってくる。

「あ~……マナが随分待たせるから、あたし熱中症になったかも」

 一方のレジーナはワザとらしく声を上げると、甘えるようにマナに倒れ掛かる。そしてマナに慣れた手つきで受け止められると、

「……チューしてくれたら元気でると思うんだけどなぁ~……」

 と、甘ったるい声でマナに懇願した。
 その碧い瞳で見上げると、マナの頬はだらしなく弛んでいて、可愛いがられているんだな、と認識できる。

「もう、しょうがないなぁ」

 そう言われ、おでこにチューをされれば、胸の奥がキューっと締め付けられて、レジーナはキャーっと嬉しそうな声を上げた。
 
「じゃあ、しゅっぱーつ!」
 
 マナからのキスを貰って元気になったレジーナは、拳を上げる。隣でマナも「おー!」と乗ってくれた。
 
「今日は、どこ行きたい?」
 
 マナは彼女をエスコートする彼氏のようにレジーナの手を握ると、そう訊ねてきてくれる。
 レジーナはお姫様のような扱いに、満足気な笑顔を浮かべると、「えっとね~」と今日のプランを思い出すように顎に指を乗せる。

「今日は、見たい映画があるの!」

 大きな瞳をこれでもかというほど開けてマナを見つめると、マナは嬉しそうに目を細めてくれた。

「そっか、じゃあ早速映画いく?」

「ううん、まだ映画の上映まで時間があるから、それまで適当に時間を潰さないと」

「じゃあ、まずはショッピングモールでブラブラしよっか♪」

「うん!」

 レジーナはぎゅっと握っていた手に力を入れて、満開の笑顔を咲かせた。


 その後は、ブラブラとウィンドーショッピングを楽しんだり、映画を見たり、カフェでおしゃべりしたりして過ごした。楽しい時間は、あっという間で、気付けば二人ともレジーナの家の前にいた。
 陽は随分と傾いて空を茜色に染め上げている。
 別にこれが永遠の別れではないと分かっていても、レジーナはマナとバイバイしなければいけない、この瞬間が嫌いだった。
 もう少しだけ、一緒に居ればこの嫌な気持ちが和らぐかもしれない。そう思って、レジーナがもっと一緒居たいマナにお願いしても、最近は物騒だから早く帰った方が良い、といつも断られてしまう。それがレジーナは堪らなく悲しかった。
 じゃあお泊り会をしようと提案しても、大学の課題をしないといけないから無理だ、と言われてしまうのが常だ。大学生になって、忙しいのかもしれないが、そんなに毎回都合よく課題があるものなのだろうかと、勘ぐってしまう。
 最後にお泊り会をしたのは何時だったか……。
 昔は、よく一緒にお泊り会とかしていたはずなのに、レジーナが高校に上がる頃には、そんなイベントはすっかり無くなってしまっていた。

「あ~あ、もう今日もおしまいかぁ~。もっとマナと一緒に居たいなぁ~」

 そんなことは無理だと分かっていても零れてしまう気持ちを、レジーナは隠そうとはしなかった。

「…………また、明日があるじゃない」

 そう言うマナが一番辛そうな顔をしている事が、レジーナには理解できなかった。辛いなら一緒に居てくれてもいいのに、と思わず首を傾げてしまう。
 悲しいマナの表情を見て居たくなくて、レジーナは不意打ちのキスをすれば、狙い通り彼女はへにょりと目元を緩ませて嬉しそうに笑った。

「レジーナ……」

「マ~ナ♪ そんな悲しい顔しないで、じゃあまた明日ね♪」

 レジーナはそう言って小さく手を振ると、満足した表情で家の中へと入って行った。
 その表情とは裏腹にモヤモヤした気持ちを抱えて。
 これが、きっとレジーナの本当の悩み。
 
 
 
     ◇◆◇
 
「どうして夏休みなのに、学校へ行かなきゃいけないのよ……」

 レジーナは不機嫌な面を下げて学校の門をくぐった。
 登校日。
 それは悪魔の日だ――――。
 今朝、親に言われるまですっかりその存在を忘れていた事もあって、余計に苦痛に感じてしまう。本当なら今日もマナと遊ぶ予定だったのに、と呻きたくなった。
 今、レジーナのクラスメートは受験生なので、登校日以外の日だって学校に来ている生徒は多い中、大学受験をするつもりがないレジーナにとって、それは単純に苦痛を伴う制度でしかなかった。
 学校の友達に会える、と喜ぶ人もいるらしいが、レジーナに言わせれば、公園でもデパートでも、どこでも待ち合わせ場所を決めて、そこで会えばいい。わざわざ学校で会わなくてもよいのだ。

「やっほー、レジーナ♪ 相変わらず眠そうな目してるね~」

「余計なお世話よ」

 教室に入ると開口一番、親友からの野次が飛んできた。彼女とは不思議な縁で中学の頃からずっと同じクラスなのだ。

「そういうアンタは、朝から元気ね」

 レジーナが嫌見たらしくそう言うと、相手は二カッと笑って、「まあね!」と答える。その声が普段に増して弾んでいるように聞こえて、レジーナは眉をひそめた。

「……何よ、随分ご機嫌みたいだけど、何かいい事でもあったの?」

「むっふっふ~、よくぞ聞いてくれました!」

 そう言われた瞬間、レジーナは聞くんじゃなかったと後悔した。その子の周囲がお花畑に包まれたと錯覚してしまうほど、纏っている雰囲気が明るいものに変わる。

「実は、私にもついに彼氏ができましたぁ!」

 親友の予想外の発言に、レジーナは呆れ顔に変わる。白い目で親友を見るが、彼女はその視線に気付く様子もなく、へらへらと笑っている。

「…………アンタ、バカなの?」

 レジーナはつい思ったままを口にする。

「うぉっと、レジーナさん、そこはもう少し祝福してくれてもいいのではないかな?」

 その口調はなんだ……すっかり浮かれきった親友の態度に、レジーナは一つ大きくため息をついた。中学の頃に彼氏が欲しいと連呼し、彼氏というものについて熱く語って教えてくれていた友人だけに、祝福の一つでもしてやりたい気持ちは山々だが、今は受験シーズンなのだ。それはこの子も例外ではない。

「あんた、受験勉強もしないで、何してんのよ……」

 レジーナのその一言に、流石の親友も苦い笑顔に変わる。その表情から察するに、一応自覚はしているようだ。

「いや、一応さ、私だって夏休みは真面目に勉強はしてたわけで……図書館とかで。そしたら、その、向こうから声かけてきて、で、一緒に勉強しようって流れになって……で、なんかこう、お互いいい感じになってきて、向こうから告ってくれて……エヘヘ~」

 そのまま、聞いてもいないのに、彼との出会いについてベラベラとしゃべり始める親友を、レジーナは呆れ顔のまま見つめる。

「いや、聞いてないし」

 そう、冷たく言い放つが、そんなことでへこたれるような親友ではない。むしろ、ますます目元を弛ませて、

「まぁまぁ、そう言わず、何か質問してくれてもいいのよ?」

 なんて、おばさん口調で調子に乗ってくるのだから驚きだ。恐らく今はレジーナがどんな冷たい言葉を浴びせても、この親友はポジティブに解釈してしまうのだろう。
 そう考えて、レジーナは極力何も聞かないように努めたのだが、彼女の自慢話は止まることはなく、放課後までその話題から話が逸れることは無かった。レジーナは適当に相槌を打ちながら、話を半分以上聞き流してはいたが、それでも気が滅入ってしまった。
 
 
「そういえば、レジーナの方はどうなの? 例の元生徒会長さんとはまだ続いてるんでしょ?」

 新しくできた彼氏の話題には満足したのか、ふと親友が思い出したようにレジーナへと訊ねてきた。
 うんざりした表情をしていたレジーナは、その言葉を聞いた途端に反撃とばかりに目を光らせて、昨日のデートについて語り始める。
 彼女とは中学からの付き合いということもあり、レジーナがマナと付き合っていることを知っていたし、幸いなことに“女の子同士”に対する偏見も無く、時折こうしてレジーナの惚気話に付き合ってくれるのだ。それなら、親友の惚気話にも乗ってやれよと外野の声が聞こえてきそうだが、それとこれとは話が別だ。
 ――天真爛漫、自由奔放。それがレジーナのスタイルだ。
 一通り話終えると、さっきまでのイライラは綺麗さっぱり吹き飛んで、晴れ晴れとした表情になる。
 しかし、そんなレジーナに対し、親友から思いがけない一言が飛んできた。

「……え? それだけ?」

 そういう親友の表情を見ると、彼女は気まずそうな作り笑いを浮かべていた。

「それだけだけど?」

 レジーナは彼女の態度にムッとして、突き放すように冷たく言い放つ。何か文句あるのか、と。

「いや、だってウチらもう高校三年生だよ? しかも、レジーナってもう付き合って結構長いじゃん? なのに、未だにキスだけっておかしくない?」

 それの何がおかしいのか、という考えと同時に、やっぱりそうなのか、という考えも脳裏を掠める。心の表面がざわついて、これ以上この話をしたくないという思いもあったが、ここで黙ってしまったら、今までのマナとの関係を否定しているような気がして、レジーナはきっと眉を吊り上げる。

「べ、別におかしくないと思うけど……」

「いやいや、おかしいでしょ! だって、お互いに好きだったら、キスよりもっと先の事をしたいって、なるでしょ?」

 もっと先の事。
 レジーナは考えて、かぁーっと顔に血が上るのを感じた。
 ――もっと先の事。
 触ったり、触られたり…………つまりはそういう事。
 ない、とは言えない。むしろ、レジーナとしてはもっとマナにくっ付きたいし、マナにもっと色々とされたいという想いはある。でも、今まであまり深く考えて来なかったし、マナと一緒に居ると楽しくて、それほど気にしていなかった。

「……私だって、今の彼と付き合ってそんなに長くないけど、時々、こう、そういう雰囲気? みたいなものが流れる時あるし」

 レジーナは親友の言葉に驚いて顔を上げる。照れて頬を掻く友人の姿に、レジーナは、果たして自分とマナはそういう雰囲気になったことあっただろうか、と逡巡してしまう。
 少しずつ、レジーナの背後からヒタヒタと疑念が詰め寄ってくる音が聞こえた気がした。レジーナにとって、それは考えたくもない可能性だった。けれども、実はずっと前から胸の奥底で、ひっそりと、けれど確かに佇んでいたもの。
 次第に、回数が減ったお泊り会。最後にマナの家に行ったのは、一体いつだったっけ。
 
 ……ねぇ、マナ。どうしてマナは私を家に入れてくれないの?
 
 それは、小さな、小さな疑問。
 けれど、決して無視できない疑問。
 それが、今友人の言葉をきっかけに、どんどんと膨らんで、あっという間に胸の中を、苦みで一杯にする。

「ねぇ、レジーナ……もしかして、レジーナ、先輩に騙されてるんじゃ…………?」

「そ、そんなことない! マナは、そんな事する人じゃないもん!!」

 レジーナは彼女の言葉に、強い口調で反論した。けれど、親友の瞳に宿る不安はますます色濃くなっていく。それは、まるでレジーナの心を映しているようで、レジーナは泣きたくなった。

「………………っ」

 感情の波に耐えられなくなって、レジーナは鞄を引っつかまえると、走って教室を飛び出して行く。

「あ、レジーナ!」

 背後から親友の叫び声が聞こえたが、レジーナは振り返る事も立ち止まることもせず、そのまま校外へと駈け出した。
 夏の熱い夕日に照らされ、汗だくになりながら、それでもレジーナは足を止めることは無かった。
 
 
 
(サンプルはここまで)
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テーマ : プリキュア
ジャンル : アニメ・コミック

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プロフィール

タイヤキ

Author:タイヤキ
サークル「前に詰めて下さい」のページです。
『魔法少女リリカルなのは』と『プリキュア』ネタが多いです。

【メンバ―】
タイヤキ:SS担当
こじょ :表紙・挿絵担当
てんぷら:ドット絵、その他

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