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【独想】

みなさまごきげんよう! SS担当タイヤキです!
フェイトちゃんの誕生日から1か月経ってますけど、気にしないでください(土下座)
そういう話を書きたいと思ったのが7月入ってからだったのでどうしようもない←

ちなみに、今回のはちょっと面白い試みをしてます。
【フェイト騎士譚】の話と繋がっているような、いないような、そんな話になってます。

では、以下からどうぞ~♪
(※百合注意)
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【独想】
 
     ◇◆◇

「ヴィヴィオ、帰るよ~」
 なのはが無限書庫で真剣に読書しているヴィヴィオに声を掛けると「は~い」という元気な声が返ってきた。
 今日はストライクアーツのトレーニングがないから久しぶりにママと一緒に帰りたい、と申し出てきたヴィヴィオのお願いを聞くために朝から全力全開で仕事を片付けたなのはは、後輩の子たちを置いてさっさとオフィスを後にしてきた。実のところは友達がみな何らかの用事で先に帰る予定だったので自分に声がかかったのだろう、頭では分かっていても未だに子離れができていないなのはとしては、ついついヴィヴィオの言葉に乗せられてしまった。
「着替えてくるから、ちょっと待ってて~」
 ヴィヴィオはそう言うと、更衣室へと入っていく。よく見ると学校の制服ではなく司書の格好をしている。どうやら他の司書の手伝いをしていたのだろう。なのははヴィヴィオに手を振ると、しばらくの間その場でぼんやり待つことにした。
「やあ、なのは。久しぶり」
「ユーノ君!」
 なのはが振り向くと、幼馴染の顔が目に入った。名前を呼ばれたユーノは嬉しそうに目を細める。
「どうしたの、珍しいね」
 ヴィヴィオを迎えに来たのだとなのはが説明すると、ユーノは得心したようになるほどと頷いて苦笑いを作った。
 まさかなのはが本を読むようになったのではないかと、わずかばかり期待していたのかもしれない。なのははユーノの表情を見ながらそんな風に感じた。
「まぁ、私はあまり本を読まないからね」
 そう言うとユーノは少し寂しそうに、そうだよねと同意する。けれどその返答を聞いたなのはは、それはそれで傷つくなぁなどと思ってしまった。
 しかし、いつも理性よりは直感に頼って生きてきただけに、そう思われても仕方がないのだと無理やりにでも納得する。
「それにしても、ユーノ君はまた徹夜だったの?」
「ははは、まぁね」
 よく見ると、ユーノの目の下にうっすらクマができていて、顔面は少し白い。ここ数年は、こんな顔のユーノしか見たことがない気がする。
「あんまり無理しちゃだめだよ?」
 そう言っても、ユーノは気まずそうに笑うだけで、反省する気はないのだと、気づかされる。
「そうそう、なのは! 実は最近すごい発表があったんだ!」
 そんな人の心配を他所に、突然ユーノが目を輝かせて話始める。その様子はまるで昔の自分を見ているようで少しだけ心が痛んだ。
「なのはは、”未来線”って知ってる?」
「ううん」
「この世界には、いくつもの次元世界があることは前から話をしているよね?」
「うん、流石にもうその辺は分かってるよ」
「次元空間にはさまざまな「世界」が存在し、それぞれが平行世界として存在、歴史を重ねているんだけど、世界がいくつあっても同一人物が複数いることはないんだ。例えば、なのはは今ここにいるけど、他の世界に全く同じ魂を持ったなのははいない」
「へ~、そうなんだ」
「うん、でもその考えを覆す発表があったんだよ、それが未来線」
「どういうこと?」
「未来線は、次元とは全く違うベクトルで並行世界の存在を証明しているんだ。その理論では、ミッドチルダがいくつもの可能性で分岐していて、このミッドチルダとは全く違うミッドチルダが存在するというんだ。そして、それぞれの世界には全く同じ人物がといると言っているんだ」
「ん~、つまり、中身の全くおんなじ私が他にもいるってこと?」
「流石なのは! その通りだよ! そしてここで言う同じっていうのは同じ魂ってことなんだ! それだけじゃない、今ここにいるなのはは魔法を使ってるけど、魔法を使っていないなのはもどこかに存在するってことでもある、まぁまだ実際にはそんな世界があるかどうかまでは証明できていないんだけどね」
「へぇ~、そうなんだ」
 なのはは曖昧に頷いて見せる。分かったような分からないような……。ユーノの話はいつも分かりやすいが、そのユーノの説明でもモヤモヤするほど難しい話に違いない、そんな言い訳じみた考えがなのはの頭をよぎる。
「……でも、この理論は非常に興味深いけど、一方で非常に危険な考えだと思う」
 ユーノが真剣な表情でそう付け加える。
 ――”アルハザード”
 その表情を見ていたなのはの脳裏にそんな単語がよぎる。はっとなってユーノと顔を見合わせると、ユーノは無言で頷いてきた。人生をやり直す、そう言って虚数空間の狭間に消えていった一人の女性を思い出す。もしかしたら彼女は、この世界と非常に似た、けれどこの世界ではない場所を目指して飛び立ったのかもしれない。
「ママ~、お待たせ!」
 口を開きかけたユーノより先に、更衣室から飛び出してきたヴィヴィオに名前を呼ばれ、なのはは愛娘に笑顔を向ける。話足りなさそうなユーノには少し申し訳ないと思いつつ、軽く挨拶をするとヴィヴィオと一緒に無限図書を後にした。
「ねぇ、さっきユーノさんと何のお話をしてたの?」
 ヴィヴィオに純粋な眼差しで質問され、なのはは先ほどまでの会話を思い出す。
「えっと、未来線とかっていう新しい論理がこの間学会で発表されたんだって」
「未来線?」
「そうそう、なんだか私もよく分からなかったんだけど、魔法の使えないママがいる世界がどこかにあるんだって」
 残っていたモヤモヤとした感情をぎゅっと押し込めると、なのはは笑顔で愛娘の質問に答えた。
「へぇ~、何だか面白そう! 今度ユーノさんに聞いてみよう」
 ヴィヴィオの表情を見ると、純粋に好奇心をくすぐられているようで瞳がキラキラと輝いていた。この辺りは自分よりもフェイトに似ているのだと思う。あまり頭で考えすぎることができないなのはは、ヴィヴィオの様子をまぶしそうに、そして嬉しそうに眺める。
「きっとユーノ君も喜ぶよ、さっき別れる時に話足りないって顔してたから」
 そう言って、なのははヴィヴィオの頭を撫でる。中等科三年ともなるともうあまり身長は変わらない。もしかしたら来年には抜かれているかもしれえない。頭を撫でていられるのも今の内かもしれないなと思いながら、なのははぽつりとつぶやく。
「――未来線、か」
 その言葉は誰の耳にも届くことなく、町の喧騒にかき消されていくのだった。

      ◇
 
「ねぇ、なのはさんももそう思うわよね?」
「え~、そんなことないよね、なのは?」
 ふいに名前を呼ばれ、はっとなって顔を上げる。
 
 ――――ここは、どこ?

 中世を思わせる石造りの壁、ろうそくの火に照らされた部屋には重厚な木製のテーブルがひとつ置かれている。
「えっと……どうなんでしょう?」
 どこか愛らしい、けれど自分によく似た声が聞こえ、なのはは鳥肌が立った。声のした方を見ると、立派な暖炉を取り囲んで座っている三人の女性の姿があった。
『フェイトちゃんにリンディさん!? それに……あれは、私?』
 なのはは目の前で談笑する自分自身の姿に目を丸くする。その服装は日本のものでも、ミッドチルダのものでもない。建物と同じく中世のヨーロッパを思わせるもので、白地のシャツの上に黒のボディスを着付け、赤いチェックのロングスカートを履いていた。リンディはなのはよりもさらに華やかな恰好をしていて、どこか貴族を連想させる姿でなのはと向かい合うように座っている。その隣には、白い騎士甲冑を着たフェイトの姿があった。
 目の前で広がる光景に、当のなのはは呆然と立ち尽くす。
『……これは、夢?』
 自分の姿を見ると、周辺がぼんやりと淡く光っていて掌もどこか朧げだ。
 ああ、やっぱり夢なのだ、となのはは自覚すうr。
 目の前で楽しそうに談笑している自分をぼんやりと見ながら、それにしてもどうしてこんな夢を見ているのだろうと考えてみたが、夜に映画を見たわけでもなく、こんなの夢をみる理由など思い当たらなかった。
『……どんな話をしてるんだろう?』
 ふと会話の内容が気になって、なのはは三人のそばに寄ってみた。
「ほんっと、フェイトってば小さい頃からそうなのよ」
「もう、母さんってばそればっかり……」
「だって、あなたってば、いっつもお兄ちゃんの後にくっ付いて近所の男の子とチャンバラばかりやってはお兄ちゃんと一緒に騎士になるって……、もう本当に将来どうしようかしらって、いっつも悩まされたんだから」
「へぇ~、フェイトちゃんって昔からやんちゃだったんですね?」
「そうなのよ~、女の子なのにちっちゃい傷をいっぱい作って……ほんと、いっつもハラハラさせられてたわ」
「いいでしょ、ちゃんと騎士になったんだから!」
「それは、そうだけど。でも、もうちょっとおしとやかに育って欲しかったわ、女の子なんだから……」
 そう言って、リンディが軽いため息をつく。そんなリンディの様子を見てフェイトは恥ずかしそうに頬を染め、一方のなのははクスクスと笑っている。
「そういえば、クロノは?」
「確か今日から遠征に行ったんじゃなかったかしら?」
「ああ、そっか」
「え? ……もしかして、フェイトちゃんのお兄ちゃんって、クロノ様なの?」
「へ? うん、そうだけど……様なんてつけなくていいよ」
「いやいやいや、クロノ様って、王国騎士団の騎士団長様だよね!?」
「あー、まぁそうかも」
 フェイトがすっかり忘れていたといった感じで答える。その返答になのははぽかんと大きく口を開けた。
「……フェイトちゃんが王国最強の騎士様で、お兄ちゃんが騎士団長様……なんだかすごい家系だね……」
「……私は、そんな立派じゃなくても、二人とも無事にいてくれさえすればいいのだけれど」
 リンディがぽつりとつぶやく。その瞳は悲しみに揺れていた。
「でも、これも運命なのかもしれないわ……この子がまだ赤ちゃんの時に猫が魔法の杖を届けに来たこともあったしね」
「またその話? それって本当なの?」
「本当よ、クロノだって覚えていたもの」
 リンディの話についていけないなのはは、頭上にはてなマークを浮かべながら二人の会話を聞いている。それに気づいたフェイトが慌ててフォローに入る。
「ああ、えっと、この魔法の杖なんだけど、実は私が生まれたときから傍にあって、母さんはそれを猫が運んで来たって、ずっと信じてるの」
「まぁ! まるで人を盲信者みたいな言い方して! 猫が運んできたのは本当なのよ!」
 リンディは憤然としてそう話す。その口ぶりや態度からリンディが嘘をついているようには見えなかった。
「でも、こんな重いもの、どうやって運んできたんですか?」
 なので素朴な疑問を口にする。鋼鉄でできたこの杖はかなりの重さで、正直なのはにも持ち運ぶことが難しい代物だ。たかが猫一匹に持ち運べたとは思えなかった。
「うーん、それがよく分からないのよね」
 リンディがそう言って首を傾げる。
 先ほどまで豪語していたわりに肝心な所が分からないというリンディになのはは苦笑いをしてフェイトの顔を見た。するとフェイトはそれ見たことかといった感じで肩をすくめて、片目をつぶってみせた。どうしたものかと困っていたなのはが口を開く前に、リンディが物思いに耽ったように続きを話し始める。
「……分かっていることは、いつのまにかフェイトが寝ていたベビーベッドの横にバルディッシュが立てかけられていて、その下に山猫が座って何も言わずこちらをじっと見つめていたの、その猫はまるで何かを訴えかけてくるような目をしていたわ」
『――え?』
 リンディの言葉に驚いたのは、夢に迷いこんだ方のなのはの方だった。
 その話を聞いて背筋に悪寒が走る。
 フェイトから山猫の魔法の先生が居たことは聞いたことがある。確かプレシアの使い魔で、フェイトに魔法を一通り教えるとバルディッシュを残して姿を消した山猫……名前はリニスと言っていたのではないか。
「へぇ~、何だか不思議ですね」
「ええ。しかも、その猫にこの杖をこの子に渡せばいいのかって聞いたらこくりと頷いて、私が分かったと言ったらもう一度頷いて、そしてどこかへ去っていったの……最後のあれは、もしかしたら頭を下げていたのかもしれないわ」
 そんなリンディの言葉に、フェイトはそれは母さんの見間違いだってと恥ずかしそうに言い、なのはは好奇心をくすぐられた子供のように目を輝かせていた。なのはが食い入るようにリンディに追加の質問をしている様子をもう一人のなのはは暗い表情で眺める。その視線の先には穏やかに笑うフェイトの姿があった。

      ◇

 あれは本当に夢だったのだろうか。
 なのはは小高い丘に立ち、日が昇る前の薄暗い海を眺めていた。束ねていない栗毛の髪が風で後へと大きくなびいている。なのはは、つい先ほど夢で見たフェイトの幸せそうな笑顔をこの風が流してくれないかなと思った。けれど、あの笑顔は脳裏に貼りついて離れそうになかった。
 とても幸せそうな笑顔だ、となのはは思った。
 あんな笑顔は今まで一度も見たことがなかった。
 ふと昨夜のユーノとの会話を思い出す。
 魔法を使えない自分と同じように、全く生まれ方が異なるフェイトが別の世界に居るのかもしれない。もし、産みの親がプレシアではなくリンディだったら……そんな世界のフェイトは底抜けに明るい性格なのかもしれない。――魂は同じはずなのに。
 それはとても残酷なように思えた。
 水平線の向こうが少しずつ白んできて、もうじきに夜が明けることを空が知らせる。
 海鳴を思い出すからという理由でこの丘の近くに家を構えたが、本当にそれで良かったのだろうか……。なのはは迷路に迷いこんだ子供のように不安で足がすくみそうになった。怖くて一歩も足を踏み出せなくなりそうだ。
 真っ赤な朝日が水平線の向こうから姿を現し始める。
 ――朝だ。
 ふと視線を落とすと、遠くの方からフェイトがゆっくりと近づきながらこちらに向かって手を振っている姿が見えた。
「フェイトちゃん!」
 その姿を見て、なのはは思わず震える声で叫んでいた。
 大きく手を振り返すとフェイトが笑う。
 その笑顔になのはは目を大きく見開いた。フェイトが見せた笑顔は夢で見た笑顔と全く同じものだったのだ。
 なのははどうしようもなくフェイトの胸に飛び込みたくなった。
「……フェイトちゃん、お誕生日おめでとう」
 なのはは小さく呟くと、フェイトの元へと駆け出す。
 今日のデートはきっととても楽しくて、幸せなものになるに違いない。
 なのははそんな期待に胸を膨らませながら、フェイトの胸へと飛び込むのだった。

(おわり)
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テーマ : 魔法少女リリカルなのは
ジャンル : アニメ・コミック

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Author:タイヤキ
サークル「前に詰めて下さい」のページです。
『魔法少女リリカルなのは』と『プリキュア』ネタが多いです。

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こじょ :表紙・挿絵担当
てんぷら:ドット絵、その他

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