FC2ブログ

【諦めないキモチ】

どうも、SS担当のタイヤキです。

前回のSSが短かった反動なのか、今回は少し長めになってしまいました(汗)

今回は、はやてxリインになります。
一応、StSからかなりの年月が経ってる想定です。
はやてちゃんがアラサ―ぐらいかな(笑)

リインがグイグイ攻めていると見せかけて、はやての方が男前な気がする…あれ?

あと言い訳ですが、ザフィーラごめんなさい…本当は出すつもりだったんですm(_ _)m
ヴィータやシャマルも、もう少し出番があるはずだったのに…。

以下、続きからどうぞ(※百合注意)
----------------------------------------------------
【諦めないキモチ】

   ◇
 
「――よし!」

 私は立ち上がって、鏡の前で最終チェックをする。
 上は白のTシャツに水色の花柄に黒縁のキャミソールを重ね着して、下は白レースのロングスカートを組み合わせている。キャミソールの胸には黒紐の可愛いリボンがあしらってある。
 次に自分の顔を確認する。化粧にはあまり自信がないので、薄いピンクの口紅と紺のアイラインを少し引いているだけだ。それでも、いつもより少し大人っぽく見える…気がする。
 
 一通りの確認を済ませ、玄関に向かうと廊下でシグナムとすれ違った。

「お、そういえば今日は主はやてと出かけるんだったな。」
「はいです♪」
「しっかり主をお守りするんだぞ。」
「分かってるですよ、シグナム。」

(…全く、我が家の長女はいつも頭が堅いんですから。シャマルは可愛い所もあるって言ってたけど、とてもそうは思えません。)

 私の返事に満足げな顔をしているシグナムを横目に、玄関の方に足を運ぶ。
 
 既にはやてちゃんは準備を済ませ、玄関で待っていた。全体的に白色で統一した服装は朝日を浴びてキラキラと輝いていた。さらに耳には紫玉のイヤリングを付けていて、より大人の女性としての魅力を引き立てていた。
 
「おはよう、リイン。」
「おはようございます、はやてちゃん♪」

 その優しい声と朝日のせいだろうか、私は目を細めながら返事をした。
 
「ほな行こか、リイン。」
「はいです、はやてちゃん♪」
 
 
   ◇
 
 今日は本当に久しぶりのはやてちゃんとの休日。…というよりは、色々な人にお願いして、かなり強引にはやてちゃんの休みの日と自分の休みを合わせたのだ。だから、どうしても2人きりになりたくて、シャマルにお願いしてヴィータちゃんの足止めをお願いしている。きっと、こんなチャンスはもう暫らくは来ないだろう…。
 そんな経緯があるので、今日の計画はかなり綿密に、かつデートっぽくなるよう慎重に練っている。何とかディナーを誘うことに成功すれば、親密度はかなり上がるはずだ。
 
「キャッ!」
 
 ボーっとそんな事を考えていたため、通行人にぶつかってしまい、声が出てしまった。いくら体を人間サイズになっていても、平均よりも少し小柄な体格なためよろけてしまう。

「ほら、リイン。ボーっとしとったら危ないで。」

 そう言って差し出された手を、私は謝りながらもしっかりと握る。私は、手から伝わる暖かさに不思議な高揚感を覚え、自然とテンションが上がっていった。
 
 そのテンションのままに、ウィンドウショッピングをしてしまったので、私はちっちゃい子供のようにはやてちゃんを引っ張りまわしてしまった。大人っぽい雰囲気で楽しむ計画が、いきなり雲行きが怪しくなった…。
 
 
   ◇
 
 ウィンドウショッピングを十分に堪能した様子のリインが、次は映画を見たいと言ってきた。観たい映画があると言って、案内された劇場で待ち受けていたのは、女子に人気の甘い恋愛モノの映画だった。
 少し恋愛モノは苦手なので、腰が引けたがリインの期待に満ちた瞳から逃れることは出来ず、そのまま映画館の中に入ることになった。
 
 映画が始まるとリインはスクリーンに釘付けになっていた。それでも、繋いだ手は離す気配はなく、力強く私の手を掴んでいた。
 
(好意を持ってくれるんは嬉しいんやけど…。)

 私は、スクリーンを眺めながら、ぼんやりとそんな事を考えていた。今日もおそらく色々な調整をして私の休日に合わせたことは、道に迷う事なくこの劇場に連れて来られた事からも容易に想像できた。
 ここ2年で、リインの私に対する気持ちが変化したことには気づいていた。しかし恋愛というものに縁はないと思ってい私は、リインの真っ直ぐな想いに怖気づいてしまい、一定のラインを保つようになってしまった。
 
「――きゃっ。」
 
 私は突然ぐいっと手を引っ張られ、慌ててリインの方を向く。
 リインは映画の世界にトリップしていて、手を引っ張っていることにも気づいていないようだった。その表情はまだ少女の色が濃く残っていて、眺めているだけで胸が暖かくなった。
 
 
   ◇
 
 映画が終わると、12時を少し回ったところだった。
 リインが美味しいパスタ屋を知っているとの事で、私たちはそこへ向かった。
 
 そのパスタ屋に入ると、たくさんのカップルが私の目に入り、またもや腰が引けた。映画館といいパスタ屋といい、どうやらリインは雑誌に紹介されているデートコースを参考に今日のプランを立てているようだった。こういう雰囲気にあまり免疫がない私は、ギクシャクしながらようやく席についた…。
 
「はやてちゃん、さっきはごめんなさい。つい映画に夢中になってしまって…。」
 
 席に着くなり、リインは申し訳なさそうに先ほどの事を謝ってきた。
 
「気にせんでええよ、リイン。」
「でも…。」
「私は、楽しそうにしてるリインが見られただけで満足やから。」

 私がそう答えると、リインは余程その事が恥ずかしかったのか、顔を赤くして下を向いてしまった。その仕草が本当に可愛らしくて、私は抱き付いてしまいそうになる衝動を抑えるのに精一杯だった。
 
 パスタの次はカフェへ向かった。この流れは、女子特融なのかもしれない。まったりとトークをしつつ、小腹が空いてきたらデザートを食べるというのはよくある流れだ。
 リインは、くるくると表情を変えながら、最近あった出来事を楽しそうに話す。それにつられて、私も気づけばずっと笑っていた。
 
 
 最後にリインが選んだのは、"公園で散歩をする事"だった。この公園自体は、家族でよく来ているが、2人で来たのは初めてだった。手を繋いで歩く公園は、新緑の木々と夕日のコントラストがいつも以上に鮮やかに彩られているように感じる。
 風が木々を揺らす音を聞いていると、無言で歩いている事さえ心地よく思えた。

(なんや、こういうのも良えかもなぁ~。)
 
 一瞬、リインと一緒にこうやって行けたら、という考えが頭を掠めたが、私は頭を振ってすぐにその考えを追い払った…。
 
 
「実はこの後、いい感じのレストランを予約してるんです。」
 
 リインは、突然正面に回りこんで、そんな発言をしてきた。その目には力強いものを感じ、微かに震えている手からは相当に勇気を振り絞っていることを感じさせた。
 
「……え?」
 
 しかし私は、リインの発言に正直かなり困惑した。夜は家に帰って皆で食べるのが当たり前になっていて、仕事が遅くなった時以外では外で食べることは無かっただけに、今まで築いてきた一家の関係が壊れるのではないかという不安があった。
 
 
 はやてちゃんは、いつも家族のために一歩引いて私達を見守ってくれている…。それがどれだけ幸せなことかも分かっているつもりだ。でも、私はその事実を素直に受け入れることが許せなかった。
 いつも笑顔で私たちを支えてくれるマイスター。辛いときや苦しいときがあっても、はやてちゃんの優しさに、私達はいつも力を貰っていた。でも、はやてちゃんは?この優しい主は一体誰に支えてもらえばいいのだろう――。
 そう考えるようになってから、私はこの優しい主の力に、支えになりたいと想うようになった。そして、この人の心に触れたい、本当の笑顔を見てみたい…と。
 
 しかし、今日1日を振り返ると、ずっと迷惑ばかりかけてきた気がする…。映画館では、一人で暴走し、昼食やカフェでもほとんど一人でしゃべっていた。そして今も、はやてちゃんは困った顔をして答えを探している。
 力になりたいと思っても、結局は一人で空回り――そう考えると泣きそうになった。
 
 少しの沈黙の後、いまだ答えに困っている様子のはやてを見て、リインは諦めたように口を開いた。
 
――冗談ですよ、はやてちゃん。
 
 しかし、実際はリインよりも先にはやてが声を出していた。
 
「…ええよ、リイン。」
「え…?」
「リインのおすすめの所なんやろ。皆にはちょお悪いけど、行ってみよか。」
 
 そう言う彼女は、少し戸惑っているように見えたが、その仕草がとても可愛かった。
 
「…はやてちゃん、本当ですか?」
 
 私は現実味が沸かず、掠れた声で思わず確認をすると、はやてちゃんはコクリと少し照れた表情で頷いてくれた。――それを見て、私は思わず大泣きしてしまった…。
 
「わっ!リイン、どうしたん?」
「だって、だって…はやてちゃんが…。」
「お~お~、よしよし…。」
 
 そう言ってはやてちゃんは、少し困った顔で私の頭を撫でてくれる。私は、涙を溜めながら覗いた顔は、夕日を浴びてとても綺麗で、思わず見惚れてしまった。
 
「さ、行こか。…リイン。」
「…はい。」
 
 私は、掌から伝わる温もりを感じながら、少しだけはやてちゃんとの距離が縮まった気がした――。
 

(おわり)
----------------------------------------------------
スポンサーサイト



テーマ : 魔法少女リリカルなのは
ジャンル : アニメ・コミック

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

タイヤキ

Author:タイヤキ
サークル「前に詰めて下さい」のページです。
『魔法少女リリカルなのは』と『プリキュア』ネタが多いです。

【メンバ―】
タイヤキ:SS担当
こじょ :表紙・挿絵担当
てんぷら:ドット絵、その他

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
カレンダー
04 | 2021/05 | 06
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR