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【にこまき物語 第二話】

どうも、SS担当タイヤキです。

すっかり遅くなってしまいましたが、にこまき物語第二話です。
第一話で特にクレームが来なかったので、調子に乗って第二話です(ォ

ラブライブは暫くこのネタを続けていこうかなと(汗)
(なのはとプリキュアは変わらず短編モノにしようと思いますが)


尚、用語説明も更新しております→用語説明

では、以下からどうぞ(※百合注意)

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【にこまき物語 第二話】
 
「よいっしょ!」
 
 ニコの軽い掛け声とは裏腹に洞窟内にはドォンという轟音が響き渡り、クレイジードック共はニコの一振りによって吹き飛ばされる。
 
「あいっかわらず、馬鹿力なんだから」
 
 その様子に真姫は関心とも呆れとも取れる声を上げた。
 
 
 洞窟に入ってから、既に一時間余りが過ぎていた――――。
 
 
 ニコと真姫はクレイジードッグのボスを探して、随分と洞窟の奥まで入ってきたが、依然として対象の姿は見つかっていない。幸いモンスターは強くはないため、二人はほぼ無傷だった。
 日頃運動していない割には、そこまで疲れていない自分自身に真姫は少し驚いていた。んなに歩けるのは隣にニコちゃんが居るから? と自問自答して恥ずかしくなった真姫は、慌ててフードで顔を隠す。
 
「真姫ちゃん、そんなにフードを深く被ったら、視界が狭くなって危ないわよ」
 
 すると、思わぬ正論がニコから飛び出す。こういう時だけ目ざといんだから、と思いながら真姫は慌ててフードを取る。
 
「ニ、ニコちゃんに言われなくたって、わ、分かってるわよ!」
 
 そう言うと、真姫は顔を見られないようにそっぽを向く。
 チラリと視線だけを動かしてニコの方を見ると、”私は分かってますよ”と言わんばかりのにやけた表情が目に入り、真姫は余計に恥ずかしくなった。
 
「……そ、そう言えば、ニコちゃんこの二年間どうしてたの?」
 
 真姫は話を変えたくて、思いついた疑問をそのまま口にする。ニコはその質問が意外だったのか、少し驚いた表情をしたが、すぐにいつもの表情に戻る。
 
「そーねー、最初の頃は色々大変だったけど……まぁ、ニコ様の手にかかればヨユーだったわ!」
 
 茶化すような口ぶりとは裏腹に、その声には昔を懐かしむ色が僅かに含まれていて、真姫は胸の奥が疼いた。
 
「へー、例えばどんな事があったの?」
 
 胸の奥の疼きを無視して、真姫は平静を装いながらニコに質問を被せる。
 
「え!? ……それはもう色々よ、色々!」
 
「どーせ、ニコちゃんの事だから、恥ずかしい失敗ばっかりなんでしょ?」
 
 慌てて誤魔化すニコに、真姫は先程受けた恥ずかしめを返すように、鋭い指摘で畳みかける。
 その指摘は的を射ていたようで、ニコはぐぬぬと悔しそうに歯を食いしばって、何も言わずに真姫を睨みつけてくる。その全く威厳のないニコの表情はどこか愛らしくて、真姫は思わず笑ってしまった。
 
 
 
   ◇
 
 
「なかなかボスがみつからないわねー……」
 
 ニコはポツリと呟く。
 あれから更に三十分程過ぎただろうか。依然、今回のターゲットであるクレイジードッグのボスの姿は見当たらない。
 二人はボスを探す間、ずっと尽きること無い世間話をしていた。
 
「それにしても、真姫ちゃんはやっぱり医者を目指すんだ……」
 
 そして、今は真姫の進路についての話だった。
 元々両親が医者で、本人も小さいころから両親の背中を追っていたことは知っていたニコだったが、改めて真姫の口から告げられた事実に内心ではショックを受けていた。
 
「うん……それが私の夢だったし……」
 
 予想外に表情が暗くなったニコにつられるように、真姫は言葉の最後が尻すぼみになる。てっきり喜んでくれると思っていただけに、真姫はショックを隠せないでいた。
 
「何よ、ニコちゃん……私が医者になるの嫌なの?」
 
 真姫は傷ついた心のまま、ニコに質問をぶつけた。
 その少し荒げた声に、ニコはハッと我に返ると、
 
「ご、ごめん、真姫ちゃん。そんなつもりじゃなかったの……」
 
「じゃあ、どういうつもり!?」
 
 素直に謝ってくれたニコに対して、真姫は尚も攻撃的な質問をしてしまう。本当はこんな事言いたくないのに、と心の中で叫びつつも自分を抑えられなかった。
 
「……その、真姫ちゃんも”モンスターハンター”になれば、ずっと一緒に居られたのになって…………」
 
 真姫の質問に、ボソボソとニコは思いを告げる。
 
「……ちょっと思っただけよ! ホントにちょっと思っただけだから! 気の迷いよ、気の迷い!」
 
 しかし、ニコはすぐに声を張り上げて誤魔化すと、くるりと体を180°回転させてしまう。ニコの言葉に、真姫はしばらくの間、痺れて動けなくなっていた―――。
 
 
 
   ◇
 
 
「ニコちゃん、ちょっと、休憩しない……?」
 
 全然余裕だと思っていたが、真姫の体は突然悲鳴を上げ始め、痛む足を隠して、世間話でもするようにニコに休憩を進言する。ニコは真姫の異変に気付いたのか、真姫の体を頭から足のつま先までさっとなぞる様に見ると、足を止めた。
 
「もう、仕方ないわね、……じゃああの岩の所で休憩するわよ」
 
 ニコは周りを見渡して、一人は座れそうな岩を見つけると、その手前まで歩いて、ドカッと座り込んだ。
 
「ニコちゃん、こっちに座らないの?」
 
 真姫は岩の方を指差し、強がりが滲んだ声でニコに訊ねる。しかし、ニコはつまらなそうな瞳を真姫に向けると、真姫ちゃん座っていいわよ、と抑揚のない声で真姫の問いに答える。
 
「べ、別に、私は平気よ――――」
 
 ニコの言葉に素直に従えない真姫は、ついつい思っている事とは正反対の発言をしてしまう。
 
「もう! ほんと真姫ちゃんは面倒くさいわね!!」
 
 真姫の言葉に、ニコは深いため息をついて立ち上がると、真姫の両脇をグッと掴んで持ち上げると、そのまま岩の上にちょこんと載せる。真姫は、驚いた声を上げて抵抗をしたのもつかの間、岩に載せられた途端、あきらめたように大人しくなった。
 どうやら想像以上に疲れが溜まっていたようで、真姫は座ってすぐに大きく息を吐いて脱力していた。ニコはその様子を眺めながら、今日はこの辺りで切り上げた方が良さそうだと判断する。
 
「もう時間も遅いし、今日はここまでね。一旦戻って明日また仕切り直すわよ!」
 
 真希はニコの言葉の意味に気づいて、はっと顔をあげる。
 
「べ、別に私はまだ行けるわよ!」
 
「ダメよ! 真姫ちゃんが大丈夫でも、これ以上探索してたら、この洞窟で野宿することになるけど……それでもいい?」
 
 負けず嫌いの真姫も流石に”野宿”という言葉を聞いて怯んだようで、表情はふて腐れていたが、小さく「分かった」と頷くとそれ以上文句を言わなくなった。
 
 
 
   ◇
 
 
 ―――――――ガサッ
 
 
 その小さな物音にニコが気づいたのは、真姫と二人で昔話に花を咲かせている時だった。
 一緒に登った木の上でニコちゃんがぴょんぴょん跳ねるから枝が折れて二人仲良く落っこちただの、伝説の生き物であるツチノコを探すと言って飛び出したニコちゃんがマムシを捕まえてきて怖かっただのと、くだらない話をしていたニコだったが、その物音に気付くと同時に素早く片足だけ立て、右手で斧の柄を握って真姫に合図を送った。
 突然変わったニコの真剣な表情に、真姫は思わず見惚れてしまう。
 
「え? きゃあ――――――!」
 
 ずっとここまで順調だった事が真姫の心に慢心を生んでいた。その慢心が彼女の一歩目を遅らせていた。
 
「――! 真姫ちゃん!?」
 
 それは一瞬の出来事だった。
 おそらくニコ一人であれば問題なく倒せるモンスターだったのだろう。しかしモンスターがその姿を現したのは真姫の背後だった。
 予想していなかった出来事に真姫は身動き一つとれず、気づいた時にはモンスターの歯が自身の腹部に当たっていた。
 一瞬ヒヤリとしたが、幸い敵はそれ以上歯を食い込ませることなく、真姫を咥えたまま素早くUターンすると、物凄いスピードでその場を後にした。
 
「真姫ちゃん!!」
 
 ニコは自身の不甲斐無さに苛立ちを覚え、ギリッと歯を食いしばると、全速力でモンスターの後を追いかけた。その脳裏に二年前の出来事が蘇り、ニコは不安で胸が掻き立てられていた。
 
 
 
   ◇
 
 
「ぐるるるる……」
 
 クレイジードッグの群れが真姫をぐるりと取り囲んでいる。モンスターに連れ去られた先は、ドームのような形状にくり抜かれた空洞で、無数の敵がひしめき合っていた。
 その正面には一際大きなクレイジードッグが立ちはだかっており、他のに比べて三倍はあろうかという巨体が冷ややかな目で真姫を見据えていた。おそらくこれがボスなのだろう、と真姫は連れ去ってきた張本人(モンスター)を睨み返す。
 しかしクレイジードックのボスは、真姫の視線を無視して、冷ややかに彼女を見下し続けるだけで、襲ってくる気配はなかった。
 
「ニコちゃん…………」
 
 心細そうにその名を呟くと、真姫は心の奥底が少しだけ温かくなった。杖を握り直し、もう一度その名を呟く。
 
「――――――――ニコちゃん」
 
 
 
 ドォォ――――――――ン!!
 
 
 
 その声に呼応するように、洞窟内に轟音が響き渡り、真姫は期待を込めた瞳で音がした方を振り向く。視線の先は土煙が立ち込めており、何も見えない。
 
「真姫ちゃん!!」
 
 その声に、真姫の胸はドキリと高鳴った。
 
「ニコちゃん!!!!」
 
 真姫は精一杯声を張り上げて、待ち人の名を叫んだ。
 
「――――みっっっつけたぁ!!」
 
 ニコの叫び声と共にブォンという鈍い音が洞窟内にこだまし、斧を振り払った風圧で土煙は一瞬にしてかき消される。
 ニコは、真姫の姿を確認するとモンスターには目もくれず、一直線に突き進んできた。まるでモンスターがニコを避けているようにさえ見える光景に、真姫は開いた口が塞がらなかった。
 彼女はあっという間に真姫の目の前まで辿り着くと、安心したように穏やかな表情に変わる。いつもは何を考えているか分からない彼女が見せた表情に、真姫の胸は再び高鳴った。
 
「はぁ……全く、心配したんだから」
 
 そう言われて、ポンと頭に手をのせられる。頭上に感じる優しい掌の感触に、真姫は緊張の糸が切れたようにボロボロと瞳から大粒の涙を流し始めた。
 
「ニ……ニコ……ちゃ…………ん」
 
 真姫はやっとの思いで、それだけ口にして俯いてしまった。
 ニコは俯いて涙を流す彼女を見て、沸々と心の中に沸き立つものを感じていた。
 
「……よくも私の可愛い後輩を泣かせてくれたわね!」
 
 ニコはザッと靴を滑らせながら振り向き、クレイジードックのボスを正面に見据える。モンスターに言葉など通じないが、それでもボスは強いプレッシャーを感じたようで、ぐるるると大きな唸り声を上げ始める。
 
「行くわよ! ニコちゃん特製……」
 
 ボスよりも先にニコが動き出す。
 ビシッと人差し指でボスを指差し斧を肩に担ぐと、グッと踏ん張る。
 
「ラブニコアタ――――ック!!」
 
 叫び声と共に、ニコは担いでいた斧を思いっきりボス目がけてブン投げる。傍から見ると、ただ斧を投げているだけにしか見えないが、その威力は凄まじく、ボスの周りを取り巻いていた雑魚共が斧の回転で生み出された風によって吹き飛ばされ、壁に叩きつけられていた。まるで小さな台風だ。
 
「グオォ――――――ン」
 
 ボスの叫び声が洞窟内にこだまする。結局ボスもニコの攻撃を避ける事さえできずに、雑魚と同じ様に洞窟の壁に叩きつけられていた。その攻撃だけで致命傷を与えたようで、ボスはピクリとも動かなかった。
 
 ブーメランのように戻ってきた斧をバシッと右手で受け止めたニコの後姿は、まさに勇者を思わせる堂々とした風格のようなものがあった。
 
 早々にボスが倒されてしまい、雑魚たちは尻尾を巻いて逃げ出し、あっという間にその場にモンスターが一匹も居なくなってしまった。
 あまりにも呆気ない幕切れに、真姫はすっかり涙が引っ込んでしまっていた。
 
「……プ、……アハハハハ」
 
 すると安心した心で先ほどの事を思い出し、可笑しくなって真姫は大声を上げて笑いだした。ニコはその様子を不思議そうな表情で見ている。
 
「ラ、ラブニコアタックって……全然、そんな可愛い攻撃じゃないじゃない……」
 
 お腹を押さえながら、必死に繋がれた言葉を聞いてニコはプクッと頬を膨らませた。
 
「何よ、そんなに笑わなくてもいいでしょ!」
 
「じゃあ、もしかしてニコちゃん…………まだ、アイドルハンター目指してるの?」
 
「そうよ! これでも少しはファンが付いたんだから!!」
 
「アハハハ♪ えっと、なんだっけ、”にっこにっこにー”って挨拶だったっけ?」
 
 その単語を聞いたニコは、ピクリと反応すると、真姫に背を向ける。後再び振り返ったニコの表情はしっかりとキャラ作りがされていると分かるものだった。
 
「ニッコニッコニー♪ あなたのハートにニコニコニー、笑顔と届ける矢澤ニコです♪♪」
 
 いつもなら笑わない所なのだが、緊張から解放されたばかりの真姫は何だか面白くて転げるように大声で笑う。
 
「アッハハ、届けてたの巨大な斧じゃん……クックック」
 
 尚も笑い転げている真姫に対して、ニコは表面上では怒っている風を装うが、内心では彼女が無事で良かったと腰が砕けそうなほど安心していた。
 そして、キラキラと眩しく輝く真姫の笑顔に、ニコはキュンキュンと胸が締め付けられていた。
 
 
 
「フフッ……呑気なものだな、罠に引っかかったとも知らずに」
 
 すると突然、地の底から響くような低い声が上空から聞こえ、ニコと真姫はバッと天井を見上げる。そこには、大きな白い羽をつけた人が宙に浮いていた。
 
「……誰?」
 
 強い警戒心を露わにした声でニコが尋ねる。真姫は天使とも悪魔とも判断できない相手に、どうすれば良いか分からずに静かに今の状況を見つめていた。
 
「誰とはひどいなぁ……我が父の敵よ」
 
「――――え?」
 
 その言葉に、ニコは大きく驚いていた。
 真姫はヒタヒタと耳の裏から底知れぬ不安が押し寄せてくるのを感じていた。
 
 
(つづく)
 
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ジャンル : アニメ・コミック

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