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【にこまき物語 第四話】

どうも、SS担当のタイヤキです。

本日、レイフレ9に一般で参加しました!
参加された皆さま、お疲れ様でした!!

毎回思うのですが、プリキュアサークルの皆さんの提示価格が良心価格過ぎてビックリです!
あの精神は常に見習いたいところです(汗

戦利品は、これから穴が空くほど読み返したいと思います!!
良い作品ばっかりで、鼻血出そう!!!(笑


さて、引き続き久々のSSアップです。
例のごとく、用語集も更新しました!
ネタバレを含むので読み終わってから見てください。→用語説明

では、以下からどうぞ

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【にこまき物語 第四話】
 
「…………ここは……」
 
 真姫が目を覚ますと、最初に目に入ったのは見慣れた天井だった。横になったまま、視界を窓の方に向けると、窓の外には綺麗な茜色の空が映っている。
 
 どうやら一日中寝ていたようだ。
 
 真姫はゆっくりと体を起こすと、時間を確認しようと時計を見る。
 
 ──時計の針は午後四時五十分を指し示していた。
 
 すっかり寝入っていた事にショックを受けつつ、慌ててベッドから降りると寝間着から部屋着に着替える。
 
 着替えをしながら真姫は次に取るべき行動を考えるが、その答えはすぐに出た。
 
 ────今すぐニコちゃんを助けに行こう。
 
 同時に問題が二つあることにも気づく。
 一つ目はここを出て、どこへ向かえば良いか分からないこと。二つ目は両親に気づかれずにこの家を出る必要があるということだ。
 一つ目の問題は、いくら考えても仕方がないので、ここを出たらまず王都へ行き、何らかの情報を探すしかないだろう。
 しかし、もう一つの問題は深刻だった。両親にお願いをしたところで、猛反対を受けて終わることは目に見えている。かといって、夜逃げ同然にこの家から出れば、両親は大激怒か哀しみに打ちひしがれるか、どちらにしてももう二度と帰れない可能性が出てくる。
 真姫は逡巡した後、こっそり家を出る決意を固める。辛抱強く両親を説得する時間さえも今は惜しい。
 幸い、まだ両親が家に帰ってくる時間では無かった。病院を経営していた両親は、どんなに早くても帰宅時間は夜の八時を過ぎる。
 それでも、着替え終えた真姫は慎重にドアノブを回す。部屋の扉を少し開けて、周囲に誰も居ない事を確認するとそっと扉を開ける。真姫は滑るように廊下に出ると、極力足音を立てないように歩き出した。
 ところが、階段を降りた所で違和感を覚えた真姫は、足を止めた。
 
(誰かいる……?)
 
 嫌な予感が背筋を通り、真姫は小さく身震いをする。それでも、心を奮い立たせると、再び歩き始めた。
 
「真姫!」
 
 数歩進んだ所で、背後から甲高い声に呼び止められて、真姫は驚きの余り飛び上がりそうになった。振り向くとそこには心配そうな眼差しでこちらを見ている母の姿があった。
 
「ママ……」
 
 普段は”ちゃん”付けで呼ぶような優しい母の今まで見たことない切羽詰まった表情に、真姫は声が出せなくなった。
 真姫の母は気持ちを静めるように目を閉じて息を吐くと、真姫をまっすぐに見て
 
「真姫ちゃん……もうご飯できるからこっちにいらっしゃい」
 
 と諭すような口調で話しかけてきた。
 言われて気づいたが、確かにキッチンの方から美味しそうな匂いがしている。普段は仕事中の両親が、こんな時間に食事を作っていることに真姫は大きな違和感を覚えた。
 
 
 
   ◇
 
 
 母に促されるがままに大人しくリビングへ向かった真姫は、父の姿がある事に驚いて、入り口で立ち止まった。
 
「パパ!?」
 
「良かった、目が覚めたんだね」
 
 真姫の父はそう言うと、真姫の傍まで来て両腕で愛娘を抱きしめた。
 この短時間に両親の愛をひしひしと感じ、真姫は勝手に家を出ていこうとしていたことを恥じたと同時に、両親を裏切らずに済んだことに安心した。
 
「どうして、パパもママも家にいるの? 仕事は大丈夫なの?」
 
 真姫は、ハッとして慌てて父の顔を見上げた。昔から、真姫が風邪を引いて寝込んでしまっても、父が仕事を休んだことなど無かったからだ。
 
「真姫が何日も寝込んでいたというのに、仕事など……」
 
 しかし、真姫の言葉に父は目を潤ませながらそう答えた。そこに母が補足するように言葉を重ねた。
 
「パパ達ね、最初は仕事に行ってたんだけど、何日しても目を覚まさない真姫ちゃんが心配で耐えられなくなっちゃてたの……」
 
 ──何日も?
 
「ねぇ、パパ。今日って何月何日……なの?」
 
 真姫は疑問に思った事をそのまま質問した。嫌な予感に語尾は萎んだように声が小さくなった。
 
「ん? 十一月三十日だよ?」
 
 父の言葉に真姫は耳を疑った。父の言葉が本当なら丸七日間も眠っていた事になる。
 真姫は慌てて父の腕を剥がして日付確認のための詠唱を行う。ぼうっと目の前に浮かび上がった青白い炎は確かに”十一月三十日”と表示していた……。
 
 
 
 何とか落ち着きを取り戻した真姫は、リビングのテーブルに着いて母の作った料理を家族みんなで囲んでいた。
 食事の間、真姫は父から最近あった出来事を色々と聞いた。
 
 父の話によると、真姫が倒れた翌日に魔王二世から世界中の人々へメッセージが送られたらしい。そのメッセージを受けた各王国は、たちまち連合軍を形成し、すでに魔王二世の討伐へ向かっているという。
 たった一週間で連合軍をつくった手腕にも驚いたが、魔王が世界中へ発信したメッセージというのが、真姫の心に大きく引っかかっていた。
 
 父の話では、突然目の前に半透明の巨大な魔王二世が浮かび上がり、その巨像が人々を見下してこう語ったとのことだった。
 
 ”私は世界を手に入れた”
 
 過去形で表現されたその言葉に、真姫は激しい違和感を覚えた。それは他の人も同じだったようで、メッセージが発信された直後は色々な噂が飛び交ったが、今なお人間社会は平常に機能していて、人々は平穏な生活に戻りつつあるようだ。
 しかし、王都の方は穏やかではなく、王はすでに各国に呼びかけて連合軍を編成。昨日、魔王討伐に向けて出陣していた。
 
 真姫は、各国が動いているならニコも助かるだろうという事実に安心した。同時に、自らの手で助けたかったという比較的自己中心的な考えが脳裏をよぎる。
 何かに追われているような表情だった真姫の雰囲気がふっと柔らかくなるのを感じ、両親は安心したように肩を落とした。
 
「……良かった」
 
「──え?」
 
 話が一段落した後、不意にこぼした父の言葉に、真姫は意味が分からず首を傾げた。
 
「真姫の表情がかなり切羽詰まっていたから、”ここを出ていく”といつ言われるかと冷や冷やしていたよ……」
 
「あっ……」
 
 父に全て見透かされていた事に、真姫は恥ずかしくなって下を向く。
 
「……ご、ごめんなさい。私……」
 
「もうそんな事考えていないんだろう? なら構わないさ」
 
「パパ……」
 
 真姫は大きく頷くと、真姫の父は満面の笑みで頷き返してくれた。母の方に視線を移すと、母も安心したように胸を撫で下ろしていた。
 
 
 ────私は世界を手に入れた。
 しかし、真姫にはこの言葉の意味が何か別の意味を含んでいるような気がして、言葉にならない不安を覚える。
 窓を見ると、すっかり日は堕ち、家々に明かりが灯されている。
 空を見ると、何時の間にか広がった雲で月も星も隠されていた────。
 
 
 
   ◇
 
 
 突然の来訪者が真姫を訪ねて来たのは、それから六日後のことだった。
 
「あなたが真姫さんね?」
 
 突然、見知らぬ女性に名前を呼ばれ、真姫はあからさまに疑いの眼差しで相手を見据る。その女性は綺麗な金髪を後ろで束ねたポニーテール姿で、白い肌と碧い瞳は小さい頃に遊んだお人形を彷彿とさせた。
 
「何? 私、アナタの事知らないんだけど……?」
 
 真姫の声は警戒心丸出しで張り詰めている。真姫の態度が意外だったのか、その女性は慌てた表情に変わる。
 
「ごめんなさい、てっきりニコから聞いているものだとばかり思っていたから……私は絢瀬絵里、そしてこっちは東條希。私達は、つい最近までニコと組んでハンター稼業をしていたの」
 
「よろしくなぁ~」
 
 黒くて長い髪を頭の下の方で結びおしとやかな風貌をしている希と呼ばれた女性は、片手をひらひらと振りながら、見た目に反して軽い口調で挨拶をした。
 
「う゛えぇぇ!?」
 
 ”絵里”と”希”という名前を聞いて、真姫は警戒心をむき出しにしていた自分が恥ずかしくなって、顔を真っ赤にして俯いた。
 確かにこの二人の名前はニコから聞かされていたけれど、その容姿までは聞いていなかったのだから仕方がない。真姫は自分に言い聞かせるように心の中で何度も復唱する。
 
「その様子やと、ニコっちからウチらのこと何も聞かされてなかったみたいやね」
 
「ご、ごめんなさい。違うの、ニコちゃんから二人のことは聞いていたけれど、その……どんな顔してるとか、そういうのは聞いてなくて……」
 
 希に図星をつかれ、真姫は俯いたまま必死に言い訳を並べていく。
 
「プッ……あはははは……」
 
 すると堪えきれないといった感じで絵里が手で口を押えながら笑い出す。
 
「ご、ごめんなさい……貴方があんまりにもニコの言っていた通りの人だったから」
 
「え……」
 
「確かに」
 
 見ると、隣で希もクスクスと面白そうに笑っている。
 一体どのような事を言いふらされたのか分からず、真姫は火が出そうなほど顔を真っ赤に染める。
 
「恥ずかしがり屋で、照れ屋で……とっても美人! いつもニコに聞かされていたわ」
 
 ──ニコちゃんのバカ!
 
 絵里の言葉に、真姫は心の中で力いっぱい叫んだ。
 自分の知らない所で、ニコからそんな風に思われていたなんて……と、真姫は胸の奥がこそばゆくなった。
 
(あと、思いの外不器用──ってこれは言わないでおきましょうか)
 
 絵里は真姫の様子を微笑ましく眺めながら、ニコが言っていた言葉を飲み込んだ。
 
「……あの、それで今日は何の用なんですか? こんな処まで……」
 
 
 ──────その言葉は今までの和やかな雰囲気を凍らせた。
 
 絵里は一瞬躊躇ったように手を口に当てその瞳を揺らしたが、すぐに意を決したように真姫の方を見据えた。
 
「私達は、ニコの行方を捜しているの。 それで、貴女が最後の接触者だと聞いて話を聞きに来たの……」
 
「え……?」
 
 真剣な眼差しを向けられて、真姫は言葉を失った。
 討伐軍が向けられているのにどうして行方を捜しているのだろう──。嫌な予感が背筋を伝う感覚に、真姫はいくつもの”良くない事”を連想させられる。
 
「……どうして、ニコちゃんを探しているの? そんな必要ないじゃない! 連合軍がきっと助けてくれるし!」
 
 気づけば、真姫は声を荒げて悲しげな瞳でこちらの様子を窺っている絵里と希に反論していた。
 二人は悲しげな表情のままお互いの顔を見合わせると、今度は希の方が口を開く。
 
「……そうやね、そうなってくれたら一番良かったんやけど……」
 
「何を言ってるの! そうなるに決まってるじゃない!!」
 
 希の言葉が何を表しているか想像したのだろう、真姫は厭々するように首を横に振りながら尚も声を荒げて反論を繰り返す。その声は、今にも泣き出しそうに震えている。
 
「────連合軍は一ヶ月も前に全滅しているわ」
 
 その言葉は研ぎ澄まされた刀のように真姫の心に突き刺さった。真姫は指先の感覚が無くなり、呼吸の仕方も忘れ、口をパクパクと動かす。
 
「う……う、そよ」
 
 受け止めきれない現実に、真姫はいわがれた声でそれだけ言うと、只々二人の方を凝視する。
 すると絵里は徐に背負っていたショルダーバッグの中を漁ると、一枚の紙を広げて真姫の目の前に突き出した。
 
 書いてある内容が脳まで到達せず、真姫は何度もその紙を読み返す。
 ──何度も、何度も、読み返す。
 
 真姫は何度も目を左右に動かして文字を読んでいたが、視線が一往復する度に、その表情は悲壮感を深く刻んでいく。
 
 ──我が軍は敵の奇襲により、全滅した──
 
 本文はそれだけだった。
 
 本文以外には、日付と連合軍指揮官の署名、それから王族の印章が押されており、シンプルではあっても、偽物ではないことを証明していた。
 どうしてこんなものを持っているのか、問い質そうと口を開いたが、真姫が質問をする前に、絵里が予測していたかのように答えた。
 
「これは、上流貴族にだけ流された親書よ。人々の混乱を避けるために、一部の人間にしか流さないように王が配慮したの」
 
「……そんなものをどうして持っているの? あなた、どう見てもモンスターハンターじゃない!」
 
 真姫は絵里を睨みつける。確かに、絵里は水着のような鎧にロングソードを肩から背負っていて、どう見ても貴族だとは思えなかった。
 
「それは……ごめんなさい、まだ言えないの……でも、この手紙が本物であることは信じて」
 
 王印が押されている手紙である以上、本物であることは認めるしかなく、真姫は分かったわ、と力なく頷いた。
 絵里はその様子を見て、安心したように息を吐くと改めて事の顛末を説明し始めた。
 
 
 それによると、魔王二世の存在は魔王を討伐した直後、すでに情報としては王の耳には入っていたらしく、慌てた王は近隣の国に呼びかけてすぐに連合軍を編成していた。──それが二ヶ月前の話。
 連合軍は最初こそ順調に進軍していたらしいのだが、大軍隊という事もあって兵糧の問題が大きく圧し掛かると、各国の協力体制に歪が生じ始めた。そこへ、魔物の大軍団が奇襲をかけてきて、軍はあっけなく全滅してしまった。
 それから一ヶ月間は魔王軍からの侵略もなく、王は暫く静観する事に方針転換をしていた。
 
「……結局、魔王軍の宣戦布告とも取れる宣言の後も、魔王軍側から侵略してくる様子もないから、未だに諸国の王たちは何もしていないの……連合軍を編成したと嘘をついたまま……」
 
「……そんな……じゃあ、ニコちゃんは?」
 
 真姫の悲痛な声を漏らしたが、絵里は首を横に振るだけだった。
 綺麗な夕日に照らされた影は、深い漆黒に地面を染め、少しずつ伸びていく。その闇は、真姫の心にも浸食して少しずつ染められていった────。
 
 
(つづく)
 
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