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【告知】リリマジ17 新刊情報

どうも、ご無沙汰しております。SS担当タイヤキです!

新年始まってから、まともにSSをUPできていないポンポコピーですが
現在、リリマジ17に向けて、鋭意原稿作成中なんです!!(土下座)

でも!
その甲斐あって、SSの新刊は発行できる目途が立ちました!
表紙と挿絵は前回と同じく「こじょ」先生に書いていただきましたよ!!

今回は、ま、まま、漫画も出す予定です!!(震え声)
自分やメンバーにプレッシャーをかける意味で記載しましたぁ~♪(白目)

というわけで、表紙とサンプルSSを公開デス!
SSは<続きを読む>からどうぞ!(※百合注意)

waik_表紙
※クリックで拡大


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【ボクからキミへ(後編)】
 
 その日、ずっと続いて欲しいと願っていた私達の関係は、音もなく崩れていったんだ────。
 
 
 
   ◇
 
 今日は、待ちに待った修学旅行。教室に集まった生徒達もこれから始まる旅行に期待を膨らませて、皆浮き足立ってはしゃいでいる。なのはやフェイトだけでなく、日頃大人しいすずかでさえ、感情を抑えきれないようで満面の笑顔を浮かべている。
 浮き足立ったクラスの雰囲気は、先生が教室に入ってきても変わることはなく、先生の点呼が終わるまでにゆうに十分以上の時間がかかった。しかし、先生も流石に今日ばかりは怒る気にならないようで、「あまり浮かれないように」とだけ言うと、校門前に止まってあるバスに乗るよう指示を出す。

「行こう、なのは!」

 フェイトはなのはの返事も待たずに、彼女の手を握ると駈け出した。いつもは、なのはの手に触れるだけで気が動転していたフェイトだが、今日はそんなことはすっかり忘れているのだろう。まるで小学生に戻ったようになのはと手を繋いで歩いている。一方のなのはは、久しぶりに感じるフェイトの掌の感触に訳も分からずドキドキしていた。

 バスの中でも生徒達のおしゃべりが尽きることはなく、車内はずっと話し声と笑い声に満たされていた。
 フェイトは前の席に座っているはやてやアリサ達とおしゃべりをしていたが、ふと隣の席から視線を感じ、会話を止めて横を振り向く。

 一瞬、息が出来なくなった──。

 振り向いた先には、じいっと上目遣いにこちらを覗き込んでいるなのはの顔があった。なのはは、フェイトの肩に頭を乗せてこちらを見上げていて、息づかいが聞こえてきそうな程至近距離にある彼女の顔にフェイトはドギマギする。

「……どうしたの、なのは?」

 しかし息が止まりそうになったのは、一瞬だけだった。フェイトはすぐに落ち着きを取り戻すと、吸い込まれそうな大きな瞳を見つめながらなのはに問いかける。

「ううん、何でもない……ただ、こうやってフェイトちゃんの近くにいるのが久しぶりだなって」

 一度は取り戻したはずの平常心は、至近距離から聞こえるなのはの声によって再び乱されてしまう。フェイトはなのはの綺麗な瞳と囁くような小さな声に、早鳴る胸の鼓動を抑えることができず、ただ一言「そっか」と返すだけで精いっぱいだった。

「あのー、お二人さん? ギャラリー居るの忘れんといてな?」

 はやての言葉に我に返った二人は飛び退くように距離を取った。はやての方を振り向くと、ニタニタ顔のはやてと困った顔のすずかの間に、怖い顔でこちらを睨んでいるアリサの姿があった。そんなアリサの表情を見ていたフェイトは、以前すずかが教えてくれた事を思い出していた。

『アリサちゃんは、大好きななのはちゃんが取られるんじゃないかって不安なんだよ』

 いつもと変わらないニコニコとした表情ですずかは話してくれた。なのはは誰の者でもないのに、とフェイトが反論するとすずかは少しだけ寂しそうな表情で「そうだね」と答えていた。
 フェイトはチラリと視線をアリサの隣へ動かして、すずかの様子を窺う。表情こそ、困ったように眉をハの字にしているが、今日は先日のような寂しい雰囲気はなく、フェイトは小さく安堵した。

「そういえば、自由行動で回る場所どこにしよか?」

 はやてのその一言をきっかけに、再び五人でワイワイと議論が始まった。

 生徒を乗せたバスが修学旅行先である京都に着いたのは午後の三時を回った頃だった。流石に長時間バスに乗っていたせいか、バスから降りると背伸びをしたり、あくびをしたりと凝り固まった体を解きほぐしている生徒達の姿が見える。はやても他の生徒に倣って大きな欠伸をしている。

「ちょっと、はやてまで……全く、魔法少女が聞いてあきれるわね」

「ははは、まぁまぁアリサちゃん、堪忍や」

 アリサは、その姿を目ざとく見つけると、まるで母親のように説教を始める。しかし、はやてには全く効果がないようで、そんな彼女にアリサは大きくため息をついた。

「……全く、少しはすずかを見習いなさい!」

 はやては、アリサの捨て台詞に、はいはいと軽く返事をすると、予想していない方向から「え?」という声がして、思わず声の主を振り返る。
 先程アリサから模範生の称号を貰ったすずかだが、その瞳には涙が溜まっていて、隠れて欠伸をしていた事が簡単に想像できて、はやては思わず「あっ」と声を上げる。その声に気づいたアリサが同じようにすずかの方を見ると、はやてと同じ事を想像したのだろう、明らかに動揺して、

「…………ま、まぁ、今日は修学旅行だから、誰だって気が緩むわよね」

 と、大袈裟な身振り手振りを交えながら、すずかのフォローとしか取れない発言をし始めた。
 その様子を見て、はやてがアリサを弄り始める。こういうはやての悪戯好きな所は小学生の頃から変わらず、今ではすっかりクラス公認になっている。ただ昔と少し変わったのは、はやてがアリサをからかい始めると、すずかも一緒にからかうようになった事だった。その時見せるアリサの慌てふためく表情は確かに可愛いくて、フェイトは二人がアリサをからかう気持ちになるのも仕方がないと思っていた。
 修学旅行初日の今日は、金閣寺・銀閣寺という有名なお寺や二条城などを廻る事になっている。一同は、タイトなスケジュールの中、少しせわしなく、だけど精一杯楽しみながら各所を巡っていった。



「なぁ、フェイトちゃん」

 その日のスケジュールを無事済ませ旅館に着くと、はやては開口一番フェイトに話しかけた。その表情は何かまたくだらない事を考えている時のモノで、フェイトは返事をしつつも身構えてしまう。

「今日は随分なのはちゃんと仲良くしとったなぁ」

「そ、そうかな? そんなことはないと思うけど……」

「またまた、そんな謙遜なんかせんでええやん」

「い、いや別に謙遜とかじゃ……」

「いや~、ホンマ久々にエエもん見せて貰ったわ」

 フェイトの警戒などお構いなしに、はやてはポンとフェイトの肩に手を置くと、満足気な表情で二度、三度と大きく頷いてくる。
 
「最近は、二人とも妙によそよそしかったから、なんか嬉しいわ」

「……」

 はやての言うとおり、中学三年生になってからなのはとのスキンシップは少なくなっていた。というよりは、なのはに触れないように少し避けていたと言った方が正しい。

(だって、……理由は分からないけど、なのはと触れ合っていると……その、何にも考えられなくなるから……)

 決して口にはできない言い訳をフェイトは心の中で呟くのだった。
 その後の夕食では、再びはやてがすずかと一緒にアリサをからかって、ついに堪忍袋の緒が切れたアリサがはやてを集中攻撃したり、お風呂でフェイトやなのはの胸をはやてが揉んできたりと、京都に来てもいつもと変わらない五人組のやり取りが続いた。
 そんなやり取りが一段落した頃、フェイトとはやては一足早くお土産コーナーにいた。八神家は大家族なこともあり、お土産は先に購入したいと言うはやてに、フェイトが付き添う形となったのだ。
 お土産コーナーでは、「関西人としてのセンスが問われとるんや」と目をギラギラさせてお土産を選別しているはやての隣で、フェイトは物珍しそうに陳列されているお土産を見ていた。
 
「なあ、フェイトちゃん……」

 すると、突然はやてに声をかけられた。先ほどまでの雰囲気とは違う意味で真剣な眼差しのはやてに、フェイトは一瞬息をのむ。

「どうしたの、はやて? 良いお土産見つからなかった?」
 
 しかし、フェイトは平常心を保ちながら、可能な限りいつもと変わらない調子ではやてに応える。

「なぁ、フェイトちゃん……フェイトちゃんはなのはちゃんの事好きなん?」

「え……? うん、好きだよ」

 何を言われるのかと身構えていたフェイトだったが、はやての質問が大した事なくて拍子抜けする。しかし、はやての表情は険しいままだ。

「ちゃうねん、フェイトちゃん。そういう意味やなくて…………例えば、もしなのはちゃんに彼氏ができたら、フェイトちゃんはどう思う?」

「え? なのは、彼氏いるの?」

「いや例えばの話や……どうなん、フェイトちゃん?」

「うーん、どうと言われても……まぁでも、もしそうだったら、きっと“おめでとう”って言うんじゃないかな?」

「………………そっか」

 フェイトの言葉にはやては小さく呟くと、いつものへにゃっとした笑顔に変わる。

「……どうしたの、はやて?」

 はやての表情が変わって、フェイトもほっと安心して小さく息を吐いた。

「いやな、てっきりフェイトちゃんはなのはちゃんの事、恋愛的な意味で好きなんやと勘違いしてて……」

「え? れ、恋愛的って……私もなのはも女の子だよ?」

 自分から最も縁遠い“恋愛”という言葉に、フェイトは動揺のあまり顔を真っ赤に染めながら、誤解であることを伝える。

「まー、そうなんやけど……でも、もしそうなら今日なんかは絶好の日やから、応援しよかなって思ってたんやけど……ハハハ」

 はやても少し気まずいのか、ポリポリと後ろ頭を掻きながら、頬を僅かに赤く染めている。フェイトは突然何を言い出すのか、と目の前の親友に少し呆れていた。
 
「でも、なのはちゃんもフェイトちゃんも、今日辺り“男子から告白イベント”とか本当にありそうやねー」

 はやてのその発言に、フェイトは「私は兎も角、なのははあるかもね」などと呑気に返事をしていた。
 あの墜落事故の時に誓ったのだ、なのはを護ると。だから、その時はちゃんと祝福しよう。なのはの幸せを護るために……頭の片隅でそんな言葉が聞こえた気がした。



 その日の夜、消灯時間も過ぎて皆すっかり寝静まった頃、ガサゴソという小さな物音でフェイトは目を覚ました。

「────なのは?」

 畳の上に五つ並べられた布団の中、フェイトの隣の布団から人が立つのを感じて、フェイトは半分寝ている頭でその人影に声をかけた。

「──あ、フェイトちゃん……ゴメン、起こしちゃった?」

「ううん、それよりどうしたの? ……こんな時間に」

 フェイトは、声の主が質問に答えるのを少し躊躇ったように感じたが、すぐに「ちょっと、トイレ」と言われ、そのまま扉を開けて部屋の外へ出て行ってしまった。
 なのはの様子に違和感を覚えたフェイトは、罪悪感を覚えつつもなのはの後を追いかけようと立ち上がる。そしてこっそり扉を開けて外へ出ると、そのままなのはの行った方へ歩き出した。



「────え?」

 なのはの姿は廊下の一つ目の角を曲がった所ですぐに見つかった。同時に見つけたもう一つの人影に、フェイトは凍り付いてしまう。
 なのはと一緒に居たのは、クラスの男子だった。確か、野球部のキャプテンだったはずだ。その男子は真剣な表情で、なのはに何かを話しているようだ。一方のなのはは背中を向けている為、こちらから表情を見る事は出来ないが、その後ろ姿からは今まで感じたことがない、なのはの女性の部分を見た気がした。


『まぁでも、もしそういう事があったら、きっと“おめでとう”って言うんじゃないかな?』


 フェイトは部屋に戻る途中、今日あったはやてとのやり取りを思い出していた。

『え? れ、恋愛的って……私もなのはも女の子だよ?』

何度も何度も、自分の発言が頭の中を回り続ける。何度も、何度も……。

 ────私、なのはの事が本当に大好きだったんだ。

 そんな事を考えながら、同時に目には見えないが確かに存在していたモノが音もなく崩れていくのを、フェイトは冷めた心で感じていた。

 翌日以降、フェイトの修学旅行は散々なものとなった。霞がかった思考で名所を巡った所で、感動の一つもなく、楽しみにしていた舞妓さん体験コーナーでは、思いっきり着物の袖を踏んで大コケして着物を破いてしまった。
 そんなフェイトの様子に、他の四人は理由を聞こうとはせずフォローに回る。しかし、そんな彼女たちの優しさも今のフェイトにとっては更に自分を惨めに感じさせるだけだった。
 三日目も二日目と大して変わらず、散々なまま楽しみにしていた修学旅行は終わってしまった。その間、フェイトは一度もなのはの顔をまともに見ることは出来なかった。



   ◇

 修学旅行二日目からフェイトの様子がおかしい事に、なのは達はすぐ気づいた。最初に気づいたのは、いつものフェイトならありえないミスを連発した時ではなく、朝起きて目の下に薄らと隈のようなものが見えた時だった。フェイトの肌は透き通るような白さのため、僅かなくすみも良く目立つ。
 なのはは、目の隈についてフェイトに訊ねようと逡巡したが、フェイトの纏っている雰囲気に阻まれて、尋ねることが出来なかった。
 結局、なのはははやて達と同じようにフェイトのフォローに徹する事しか出来ず、そんな自分に虚しさを感じていた。



 フェイトが回復する兆しもないまま、修学旅行は終了し、いつもの学校生活が戻ってきた。
 日常に戻ったフェイトは、皆を心配させまいと無理に笑顔を作るようになったものの、嘘が苦手な彼女の笑顔は、作り物だという事が一目瞭然だった。なのははそんな彼女の笑顔を見るたびに、胸が締め付けられる思いがして泣きたくなった  。



「ねぇ、フェイトちゃん……」

 学校の帰り道、なのはは意を決して、フェイトに声をかけた。その瞳には強い意志が宿っている。

「ん? どうしたの、なのは?」

 なのはとは正反対に微睡(まどろ)んだ瞳でフェイトは振り向く。

「フェイトちゃん……修学旅行の途中からずっと変だよ? 何かあったの?」

 なのはがずいっと体ごとフェイトに詰め寄ると、フェイトは顔を逸らして「別にいつもと同じだよ」と応える。なのはは、フェイトが顔を逸らす瞬間、悲痛な表情をしていたような気がして、じいっと彼女の顔を睨みつけた。

「いつもと同じ? そんなわけないじゃん! そんな元気の無い笑顔浮かべて、いつものフェイトちゃんならあり得ないミスばっかりして……」

「………………………………同じだよ」

「────え?」

 なのはの悲鳴にも似た言葉を、フェイトはポツリと否定した。今まで聞いたことがない程の冷たいフェイトの声色になのはの頭は凍り付いたように何も考えられなくなってしまう。結果、素っ頓狂な声を上げ、口をぽかんと開けたまま、立ち尽くしてしまうなのは。話は終わりと言わんばかりに、フェイトはなのはを置き去りにしてその場を立ち去ってしまった。
 視界を横切る長い金糸を眺めながら、なのはは親友の力になれない自分自身の無力さを痛感する。なのはは生暖かい水滴が頬を伝うのを感じ、自分がなぜ泣いているかも分からずに、ただ茫然とその場に立ち尽くしていた。



 翌日、なのはは親友の三人に昨日の事を話すと、三人それぞれに、フェイトと話をしてみるという結論になった。
 北風と太陽の如く、三人はあの手この手でフェイトから真実を聞き出そうとしたが、いくら話をしても頑なにフェイトは口を閉ざしていた。
 結局、しばらくはこのまま様子を見るしかないという結論に至ったのだった。
 
 
 
   ◇
 
 しばらくは平穏だったクラスも、受験が迫ってくるにつれピリピリした空気が流れてくるようになった。なのは達は卒業したら管理局への本就職を決めていたが、すずかやアリサの邪魔にならないよう、受験生と同じ様に勉強をしていた。
 時の流れというものは、意識するとあっという間に過ぎてゆくもので、何時の間にかなのは達は卒業を目前に控えていた。
 厳しい寒さが少し和らぎ始めた三月──。塞ぎ込みがちだったフェイトも少しずつ彼女らしさを取り戻していた。
 そんな彼女の後姿を見ながら、なのはは小さくため息をつく。

(あの日から、フェイトちゃんが私の事をちゃんと見てくれなくなった気がする)

 なんて、子供みたいな事を考える。昔のように普通に会話もするし、皆と一緒に遊んだりもするけれど、以前のような“繋がっている感覚”をなのはは感じなくなっていた。

「はぁ~……」

 なのははもう一つ、今度は少し長めのため息をつく。

「なのはちゃん、そんなにため息ついてばっかりやと幸せが逃げていくで?」

 机の向かい側から呑気な声が投げかけられる。なのはが顔を上げると、そこにははやての元気な顔があった。その奥でアリサが顔を真っ赤にしている所をみると、この友人はまたアリサをからかっていたのだろう。このお茶目な面がなければ、心から尊敬できる友人なのだが、しかし同時にその一面が彼女の魅力でもあるのだろう。

「……あんまりアリサちゃんをからかっちゃダメだよ、はやてちゃん」

「ん? 人聞きが悪いなぁ、そんなんちゃうよ、ちょっと仲良くお話してただけやで」

 カラカラと笑いながら答える友人をなのははジト目で見るが、そんな視線は全く気にならないようだ。しかし、そんな彼女を見ていると何でも話したくなるのだから本当に不思議だ。

「────ねぇ、はやてちゃん」

「ん?」

「今日の放課後……その、時間あるかな?」

「……大丈夫やで」

 その声も表情もとても優しくて、彼女がただの悪戯好きの女の子ではない事を感じさせた。

「ちょっと、相談したいことがあるの…………」

 だからこの子はヴォルケンリッターの人達にあれほど慕われているのかもしれない。はやての「ええよ」という答えを聞きながら、なのははそんなことを考えていた。



 その日の授業が終わり、二人はなのはの部屋に居た。なのはは教室でも構わないと言ったのだが、この友人は怪しまれないようにとわざわざ一度家まで戻ってから来てくれたのだ。

(こういう所は、ホント凄いなぁー……)

 いざ、はやてを前にして、教室では相談できなかったかもしれないと、なのはは自分の臆病さに気づいて苦笑いをした。

「あのね、はやてちゃん────」

 なのはは気持ちが変わらない内に、と早速はやてに今の自分の気持ちを打ち明け始めた。はやては始終穏やかな表情のまま、時々相槌を打ちながら、なのはの話を最後まで聞くと、

「────つまり、なのはちゃんはフェイトちゃんとイチャイチャできんくなって、寂しいっちゅうこっちゃね!」

「……………………。」

 どうしてそういう発想になるのか、この友人の頭の中を覗いてみたい、と思いつつなのはは冷たい視線を送る。

「……………………。」

「……あの~……なのはちゃん?」

「……………………。」

「…………あはは、嫌やなぁ、緊張をほぐすための冗談やん?」

「……………………お話する?」

「すいませんでしたぁ!」

 なのはの殺し文句に、土下座でもしそうな勢いで平謝りを始めるはやて。なのはは、どうしてこんな友人に相談してしまったのかと少しだけ後悔した。

「いやー……なのはちゃんから相談なんて珍しいから、ちょっと舞い上がってもうて……」

「もう! こっちは真剣に話をしてるのに、はやてちゃんのバカ……」

「あはは、堪忍や……でも、やっぱそうやったんやね」

 はやては、先程のおちゃらけた表情から一変、真剣な面持ちに変わる。

「やっぱって……そっか、はやてちゃんも気づいてたんだ」

「まぁ、気のせいかもしれんって思っとったんやけど……でも、なのはちゃんがそう言うなら、たぶんそうなんやろう」

「……私のだって分かんないよ、気のせいかもしれないし……」

 自分に言い聞かせるように呟くなのはに、はやては事態の重さに気づいた。時間が解決してくれると、高を括っていたが、このままでは卒業後も尾を引く可能性がある。はやてはそう思い直すと、腕組みをして対策を考え始める。そんなはやての真剣な表情に安心感を覚えたなのはは、自身の現金さに思わず苦笑いした。


「────うん! やっぱコレやな! なのはちゃん、ええか、よー聞きや……」

 なのはは、目をキラキラ輝かせながら語り始めるはやてを見て、なのはは安堵している自分が居る事を感じずにはいられなかった。
 
 はやての作戦は、題して「遊園地デート大作戦」というものだった。内容は、その名が表す通り、皆で遊園地に行って、途中で他の皆とは逸れて、なのはとフェイトの二人きりにするというシンプルなものだった。はやて曰く、「こういうのはシンプルな方が効くんや」という事で、なのはは半信半疑ながらもこの作成を受け入れた。
 アリサやすずかには、いつの間にかはやてが話を通していて、あれよあれよという間に、デートの日程まで決まっていた。
 デート前日は、期待と不安で胸がいっぱいでなかなか寝付けず、なのはは何度も次の日に着て行く服を吟味していた────。
 
 
(サンプルはここまでなの!)
 
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テーマ : 魔法少女リリカルなのは
ジャンル : アニメ・コミック

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プロフィール

タイヤキ

Author:タイヤキ
サークル「前に詰めて下さい」のページです。
『魔法少女リリカルなのは』と『プリキュア』ネタが多いです。

【メンバ―】
タイヤキ:SS担当
こじょ :表紙・挿絵担当
てんぷら:ドット絵、その他

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